2月11日(金・祝)より、東京・渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムで、「ミロ展 日本を夢みて」が開催される。スペインのバルセロナで生まれ育ったジュアン・ミロは、ピカソと並ぶ現代スペインの巨匠であり、シュルレアリスムを牽引した画家である。しかし、実は日本にあこがれ、日本文化に深い造詣があったことはあまり知られていない。そこで、本展覧会では、一般的な回顧展の要素をもちつつ、どこかに「ミロと日本とのつながり」という一本の筋を通した、初めての試みがなされている。
今回、ナビゲーターとして音声ガイドを務めたのは、いま注目の若手俳優の一人・杉野遥亮氏。音声ガイドを担当したのは自身初だったという。開幕に先立つ内覧会で、オープニングイベントに登壇した杉野氏は、本展の感想ついてこう語った。
「僕自身、展覧会というものに来るのが初めてだったので、本物の作品に宿るエネルギーやそこから受ける印象が刺激的な空間だなと思いました。特にこれ(『ゴシック聖堂でオルガン演奏を聞いている踊り子』)は、自分の好きな絵だったので、こんなに大きい作品なんだってびっくりしました」
パンフレットを見たときから惹かれていたという同作の魅力については、次のように語る。
「日々撮影で疲れているときに、この絵を見てホッとする自分がいました。描かれているように、月のイメージのある絵で、それが心地よく入ってきたんです。ミロ自身が弱っているときに描かれたと聞いて、僕とミロがリンクした気がして、好きになりました」
始めて務めた音声ガイドについても、納得の出来の様子。実際、杉野氏の抑揚ある声で、わかりやすいナレーションとなっている。
本展の魅力は、一連の作品からミロの「日本愛」が垣間見られるところにある。浮世絵に通じる風景の表現から始まり、まるで書を連想させるカリグラフィックな文字と絵画との融合、さらに、ミロのアトリエに実際に飾られていた日本の民芸品や書物までがずらりと並ぶ。
展覧会の中盤には、ミロが2度来日したときの記録を数多そろえ、その前後で作品にどう影響を与えたかが一目でわかるようになっている。「これぞミロ」という作品も堪能できる一方で、その背景にある我が国が彼に及ぼした影響をうかがい知ることができる本展。日本人であれば、まさに必見といえるだろう。
「ミロ展 日本を夢みて」
会場:Bunkamuraザ・ミュージアム
会期:2月11日(金・祝)~4月17日(日)まで
取材・文/飯塚さき