宇山佳祐による同名のベストセラー恋愛小説『桜のような僕の恋人』を、原作ファンを公言する中島健人の主演でNetflixが完全映画化。3月24日(木)より全世界独占配信中!
美容師の美咲に惹かれ、思い切ってデートに誘った晴人は、目標に向かって頑張る姿を見て、一度は諦めかけていたカメラマンになる夢を再び追い始める。
順調に進んでいくように思われたふたりの恋だったが、美咲が普通の人の何十倍のスピードで老いていく難病を発症してしまい……。
晴人が恋におちる美咲に『みをつくし料理帖』(20)などの松本穂香が扮し、永山絢斗、桜井ユキ、及川光博、若月佑美らが共演。恋人たちの切なくも美しい物語を『神様のカルテ』(11)、『そらのレストラン』(19)などの深川栄洋監督が繊細に紡いでいるのも見逃せない。
そんな注目作で主演した、中島健人を直撃! 撮影秘話や本作に込めた想いから、自身の恋愛観までドーンと聞いちゃいました。
「役を通して、お互いに本気で好きになろう」という話をした
――晴人と美咲のデートシーンに胸が熱くなればなるほど後半の展開が苦しくなる構成ですが、その前半のデートシーンに関しては美咲役の松本穂香さんと何か事前に話をされましたか?
「役を通して、お互いに本気で好きになろう」という話をして、撮影初日に「遠慮はいらないからね」という気持ちの確認はしましたね。
たぶん今回は「徐々に徐々に、日を追って役を作り上げていこうね」というやり方より、いちばん最初から「今日からあなたと恋愛します」っていう気持ちで行った方がいいかなと思って。
最初にそういう話ができたのが大きくて、最後までそういう気持ちで走り切れたのはデカかったです。穂香さんもクールでシャイな感じの人なのかなと思っていたんですけど、自己解除してくれる方だったから、ふたりでけっこう話し合いをしたし、クランクイン前にお互いの役についてどう思っているのかを書いた手紙の交換もしました。
――手紙の交換は中島さんの方から提案されたんですか?
撮影に入る前に2回稽古があったんですけど、最初の稽古のときに深川監督からボロボロにダメ出しをされたんですね。
すごく厳しい方で、「役が全然つかめていないような気がするから、次回までにお互いが思っていることを紙に書くなり何なりしてきてください。それを元に次は意見交換をしましょう」と言われたんです。
それは別にマストじゃなかったんですけど、2回目の稽古のときに僕も穂香さんも役について書面化したものをちゃんと持っていって。
そしたら、穂香さんの手紙はメモみたいな手書きのものでエモかったですよね。それを見て、俺も彼女みたいにラフな手書きにすればよかったなって思いました。
――手書きじゃなかったんですね。
大学に通っていたときのレジュメを作る癖が残っちゃっていて、レジュメみたいな感じで書いたものをそのまま渡しちゃったんです(笑)。
――手紙の交換以外にも何かしました?
3ヶ月の撮影期間中の、(それぞれのシーンを別々に撮る)会えない時間が自分はとっても嫌で。
美咲を想う気持ちを途切れさせると晴人がいなくなっちゃうような気がしたので、「お互いに共通のアイテムをいつも持ち歩くようにしよう」と言って、実際、撮影期間中はそのアイテムをずっと持ち歩いていました。
――そのアイテムって?
気になりますよね?
――気になりますよ。
教えて欲しいですか?
――はい。
ちょっと恥ずかしいんですけど……写真です(笑)。
――お互いの写真ですか?
7日間ぐらい会えない日があったんですよ。なので、お互いに撮った7枚の写真をファイリングして「1日目に1枚目を見て、2日目に2枚目を見てね」っていう話をしたんですけど、いま考えるとめちゃくちゃ可愛いことをしてたな~って思います(笑)。
――可愛いです。それも中島さんが提案されたんですか?
そうです。可愛くなっちゃったんですけど、それぐらい作品のことを忘れたくなかったし、7日後に会えたのが撮影の最終日だったんですけど、そのときに桜の木の下で一緒に撮った写真をファイルの最後に入れたことも大切な想い出として残っています。
――そのファイルはいまも手元にあるんですか?
台本とともに大切に保管しています。台本はいま、部屋に飾っているんですけどね。
ちょっと思い入れがほかの作品とは違うかもしれない
――今回は、それぐらい中島さんにとって特別な作品だったんですね。
そうですね。宝物のような作品だし、原作の小説もオファーが来てから読んだのではなく、書店で出会ったのがきっかけで。
そのときから演じるビジョンも頭の中にあったから、ちょっと思い入れがほかの作品とは違うかもしれない。
――書店で手に取って、読まれたときは映像化もイメージしました?
しました。もちろん自分の主役でかなり考えました。
――周りの人にその話はしたんですか?
しましたね。この作品にもいろいろ紆余曲折があって、最終的に今回、配信というプラットフォームで制作することになったわけですけど、僕がある映画プロデューサーにお話をして、そこからいろいろ繋がっていった感覚ではあるかな~。と言っても、僕はただ「この本、最高に面白いです」って言っただけなんですけど(笑)。
――でも、企画の初期段階からずっと携っている感じですね。
そうですね。立案の段階に数パーセントはいたかもしれない。だから、かなり特別な作品なんです。