――いま売れるアプリはどんなジャンルですか?
R:単発のゲームですかね。カレンダーや連絡先なんかのツール系は、概出のアプリのレベルを超えなければいけないのでハードルが高いです。暇つぶし程度の単発ゲームは、「遊び終わったら次」という風に消費していくものですから、ユーザーの取り合いにはなりません。大事なのは他のアプリにはないオリジナリティがあること。分かりやすくて面白い、なおかつTwitterなど口コミで広がりやすいゲームが売れる傾向にあるんじゃないでしょうか。
――「ぐんまのやぼう」はグッズ化されていますが、アプリがグッズ化したら億万長者になれますか?
R:いやいや、そんなことないですよ(笑)。相当な数が売れないと億万長者になんてなれません。みんなが思っているほど儲かりませんよ。グッズ化を狙うなら、アプリの中にキャッチーなキャラクターを作って、強引に出し続けるとか。
あ、これ良かったらどうぞ。家にいっぱいあるんで。(おもむろに自身のリュックからグンマーストラップを取り出すRucKyGAMES氏。)
押すと「グンマー!」って言いますよ。
――アプリ開発だけで生計を立てられますか?
R:立てられるかもしれませんが、アプリ開発一本で生活するのはおすすめしません。実際、僕のアプリはほとんど赤字なんです……。いくつかのアプリがヒットして何とか黒字に持っていけてるかんじですね。普段、会社で働いている人なら、週末を使って制作した方がいいと思います。お給料をもらえることって幸せなんですよ! 僕は4年前、ゲーム開発の会社で働く傍ら、趣味でアプリを作っていました。それから「i大富豪」がヒットしたことがきっかけで、思い切って会社を辞めてアプリ開発だけで生活することにしました。1年くらいは生活できる蓄えがあったから何とかなるかな~って。
不動の人気を誇るトランプゲーム、大富豪(大貧民)のアプリ。実際のカードゲームでは一人では出来ないが、アプリではコンピューター対戦なので、いつでもプレイを楽しむことができる。
――どうしてもアプリで稼ぐ方法はないんですか?
R:う~ん、ヒットアプリになるかどうかはリリースしてみないと分からないですからね……。儲けたいならとにかく多く作ることです。空いている時間に簡単なものでいいから作りまくるんです。きっと何かしら当たりますから。作れば作るほど制作のノウハウも上がっていくので、僕は数打ち作戦を勧めます。完成までに、思い通りにいかなかったり挫折しそうになることも多々あるかもしれません。でも、そこを乗り越えたらお小遣いが手に入りますよ! みなさん、頑張りましょう!!
――ありがとうございました! 今後リリースを予定している新作はありますか?
R:ぐんまのやぼう的なものを作るつもりです。なんとかのやぼう、みたいな作品ですね。あとはこれまで通り、ゆる~いミニゲームを作り続けていくつもりです。……ってかどんどん出していかないと僕の生活がやばい!
デリケートなテーマだからオブラートに包むと言いつつも、アプリが儲かる仕組みを事細かに説明してくれたRucKyGAMES氏。礼儀正しく、深々とお辞儀をして次の仕事場へ向かって行った。
結果的に、サクッとアプリを作って楽して儲けられるかといったら、答えは「ノー」である。プログラムの知識を得るためにはそれなりの勉強が必要だし、最後まであきらめずに作る根気が必要になってくる。
しかし、努力して作り上げたアプリがユーザーに認められ、億万長者になるのは夢ではない。「アプリで一生食っていくんだ!」と気張らずに、趣味と副業程度に一攫千金を狙ってみるのもいいかもしれない。
RucKyGAMES(ラッキーゲームス)
スマホ向けにゲームを開発している個人開発者。代表作に「ぐんまのやぼう」「i大富豪」「i刺身」などがある。書籍『大手メーカーが作らない「B級」iPhoneゲームが売れる50の理由』が発売中。