ストーリー性のある演劇的な世界観をダンスとJ-POPで創り上げるエンターテインメント集団「梅棒」による14th WONDER『おどんろ』が2022年4月8日(金)から東京・サンシャイン劇場での公演を皮切りに、全国5箇所で上演される。2021年7〜8月の上演が予定されていたものの、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で全公演中止となってしまった本作。一部キャストを変更してのリベンジ上演となる。
物語の舞台は、トーキョー都タイトー区。人間の生活はNEO妖怪たちのイタズラによって脅かされていた。うだつの上がらないサラリーマン・萬代(ばんだい)はひょんなことから妖怪たちと接触するようになり、生活が一変。不思議な事件に翻弄されるタイトー警察署不思議犯罪課と、よからぬことを企むブラック企業をも巻き込んでーー。人間とNEO妖怪たちの不思議でハートウォーミングな物語となっている。
初日までおよそ2週間と迫った3月下旬、適切な感染防止対策を講じた上で稽古場を1時間ほど見学した。この日の稽古は主にアクションシーンを確認すると聞いていた。初日も迫るし、てっきり既に振付やミザンス(役者の立ち位置)が決まっていて、その出来上がったシーンをなぞるのかと思っていたが、とんでもない。今まさに“クリエイション”していた。
だいたいの芝居の流れが伝えられ、「ゆっくりと動いてみて」と早速実践へ。それぞれのキャストが自身のキャラクターを考えながら、どうしたらカウント内で動けるか計算し、まずは動いてみる。その場にいるキャストで、何度か合わせてみて、だんだんと噛み合ってきたら、スピードを上げていく。曲をかけてやってみて、また不都合が出てきたら修正し、試す。その繰り返しだ。
梅棒の稽古場はこれまでも何度か取材させてもらっているが「壊しては創り、壊しては創り」をここまでしっかりと観たのは初めて。作品にとって何がベストなのか、ぎりぎりまで試行錯誤するのだなと思った。ちなみに、見学していたアクションシーンでは、主演の小越勇輝が大活躍。華麗なアクションを決めていた。
また、そのアクションシーンを稽古している最中も、そのシーンに出演しないキャストたちがそれぞれ自主的な練習をしている姿が印象的だった。ヘッドホンをつけて振付をひたすら繰り返す者、小道具の扱いになれようとしているのか、何度も同じ動きをしてみる者。休憩時間はまるで部活のような空気感だが、やるときはやるメリハリあるカンパニー。無事に開幕することを願ってやまない。
東京公演は4月17日(日)まで。三重公演は4月19日(火)、四日市市文化会館第2ホール。大阪公演は4月22日(金)~24日(日)、COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール。高知公演は4月27日(水)、県立県民文化ホール。愛知公演は5月7日(土)~8日(日)、ウインクあいち。
取材・文:五月女菜穂