タブレット端末の販売が持ち直してきた。昨年はコロナ禍特需の反動減で、前年比マイナスを続けていた市場だが、この2月、わずかながら販売台数が前年を上回った。昨年1月以来13カ月ぶりだ。3月の販売台数は前年割れしたものの、販売金額では2月、3月と連続して前年を上回っている。全国家電量販店やネットショップなどのPOSデータを集計するBCNランキングで明らかになった。
タブレット端末の販売台数前年比はこの2月、100.4%と前年比増を記録、販売金額は107.8%とこちらも前年を上回った。3月は台数こそ98.4%と前年割れに終わったが金額は120.0%と大幅に上回った。販売金額が伸びたのは平均単価(税抜き、以下同)の上昇によるものだ。それまで4万円台だった平均単価が昨年5月以降5万円台に上昇。6月には6万円を超えた。年末商戦では一時5万円を割ったものの、2月以降再び5万円台を回復。この動きに販売台数の増加が伴って、販売金額の大幅増に結び付いた。
メーカー別シェアでは安定的にアップルが強く年間を通じて6割前後を維持。直近3月でも65.6%を記録してトップを走っている。昨年5月以降販売台数は前年割れを続けてきたが、2月には116.1%、3月には124.6%と二桁増。市場全体の回復をけん引している。一方、米国が行った制裁の影響でファーウェイのシェアが急減して以降、勢いを失った感のあるAndroid勢。台数、金額とも二桁割れのままだ。3月時点でのシェアはレノボこそ14.4%と二桁だが、以降NEC、ASUS、Vantopと一桁にとどまっている。
3月のシリーズ別の販売ランキングは上位5モデルをアップルが占めた。10.2インチのiPad Wi-Fi 64GB(第9世代)を筆頭に四つが10インチ以上のモデル。8インチ台のiPad miniは3位にランクインした。Top10内に入ったiPad以外の製品は、6位のレノボの10インチAndroidタブレットのみ。以降Androidだけを上位から5モデルまで抽出すると、NECとレノボの2社のモデルで占めている。アップルが孤軍奮闘している感のあるタブレット端末市場。本格回復のためにはAndroid勢のテコ入れも必要だ。(BCN・道越一郎)