スマホならではの使いやすいUIとして端末の画面ロック解除機能(生体認証)を活用する

2020年11月に開始した「マイナンバーカードの機能のスマートフォン搭載等に関する検討会」を踏まえ、総務省は4月15日に「第2次とりまとめ~デジタル社会の新たな基盤の構築に向けて~」を公表した。今回は、取りまとめ資料から、特に重要だと思われる項目について解説する。なお、第1回から第9回までの配布資料一式と議事概要はウェブサイトで公開している。

マイナンバーカードをもっと便利・身近に

まず前提として、マイナンバーカード機能とは、マイナンバーカードの内蔵ICチップをスマートフォン(スマホ)で読み取る際に必要な公的個人認証サービスを指す。しかし、用語の理解不足から多くの誤解を招いているように感じる。

マイナンバーカード保有者がスマホ用電子証明書を使用した電子署名などによって、スマホのみでいつでもどこでもオンラインで行政手続きが完結することを目指し、オンライン行政手続きポータル「マイナポータル」にログインする際、現状のマイナンバーカードをスマホで読み取るステップをなくす。要するに、スマホへの搭載の狙いは、認証手続きの簡素化と利便性の向上だ。

具体的には、令和4年度中(23年3月まで)にAndroidスマホへの搭載を進め、iPhoneについても早期実現を目指す。マイナンバーカードのメリットの一つ「コンビニ交付サービス(住民票の写しなどの取得)」と、公的個人認証サービスと紐付けられた民間IDでログインする「各種民間サービスのオンライン手続き等」も23年3月末以降、順次対応する予定。ただし、21年10月にスタートしたマイナンバーカードの健康保険証としての利用のスマホ対応は検討中としている。

なお、UIに関しては、スマホ向けマイナポータルアプリとの一体化を想定しており、本格普及に向け、分かりにくいマイナポータルアプリの再定義が必要となるだろう。また、セキュリティと利便性を両立するため、既にアプリやサイトで幅広く使われている生体認証などを活用し、利用者証明用電子証明書(数字4桁)の利用に限り、要件を満たすAndroidスマホの画面ロック解除機能で代替可能とする。

安全・安心のための重層的なセキュリティ対策も施し、悪用防止対策として「リモート削除機能」「電子証明書を利用するための認証が行われた際のメール通知」を実装するほか、通信事業者・中古端末取扱事業者と連携し、スマホ端末の下取り・修理などの際に、利用者に電子証明書の適切な失効・削除手続きを促す。

当初はAndroidスマホのみ

プラスチック製のポイントカードとポイントカードアプリを併用していると、急いでいる時、通信状況が悪い時など、利用シーンによってはアプリより財布やカード入れからさっと出せるカードのほうが使いやすいと感じる。しかし、検討が進められているスマホへのマイナンバーカードの機能の搭載は「カードを読み取る行為」の代替となるので、カードのほうが使いやすいと感じる人はおそらくいないはずだ。

今回の第2次とりまとめでは、マイナンバーカード機能のiPhoneへの搭載は「早期実現を目指す」という記載にとどまった。国内で高いシェアを占めるiPhoneこそ、対応時期の目安を示す必要があるだろう。(BCN・嵯峨野 芙美)