番号の割り当て(出典:「KDDIトビラ」より)

【家電コンサルのお得な話・219】新しく「060」が携帯電話の番号として使えるようになることが注目されている。早ければ2024年12月にも事業者への割り当てが始まる見込みである。今回の「060」番号の開放は、スマートフォンやIoTの普及に対応するための大切な取り組みとなる。

番号の割り当て(出典:「KDDIトビラ」より)

「070」「080」「090」の三つが徐々にひっ迫

携帯電話は最初、自動車電話として登場し、当初の番号は「030」で始まっていた。その後、持ち運べる携帯電話の急速な普及に伴い、番号の需要が高まり、1990年代には「040」「080」「090」などの番号も加わった。

しかし、99年にはさらに需要が増えたため、携帯電話番号が10桁から11桁に拡大された。このように携帯番号は需要の増加に対応してきた歴史がある。最近ではスマートフォンの普及に加えて、仕事用の携帯電話を持つ人が増え、一人で複数のスマホを所持するケースも一般的になっている。

さらに、IoT(モノのインターネット)機器も増加しており、通信デバイスに割り当てる番号の需要が急速に拡大している。現在、携帯電話の番号は「070」「080」「090」の三つだが、番号が徐々にひっ迫してきている。

「060」は「FMC」サービスで使われていた

「060」番号はもともと、固定電話と携帯電話を融合した「FMC」(Fixed-Mobile Convergence)というサービスに割り当てられていた。しかしFMCはあまり普及せず、060番号は長らく使用されないままであった。総務省ではこれを携帯電話番号として利用できるように温存してきた。

今回、番号不足の懸念が高まったことで、いよいよ060を携帯電話の番号として開放する方針が打ち出され、総務省は既に規定の見直しを進めている。

今回の「060」番号の開放により、利用可能な携帯番号は約9000万件増加し、約3億6000万件に達するとされる。これは「今後しばらく番号不足に悩まされることなく、新規番号を円滑に利用できる環境が整う」ことを意味する。

携帯電話番号の歴史は、日本の通信需要の変遷とともに歩んできた。今後、私たちが新しいデバイスを手にする際、そこに「060」から始まる番号が割り当てられているかもしれない。

この取り組みは単に番号不足の問題解決だけでなく、私たちの生活の中に新たな利便性と選択肢をもたらすものであるといえるだろう。(堀田経営コンサルタント事務所・堀田泰希)

■Profile

堀田泰希

1962年生まれ。大手家電量販企業に幹部職として勤務。2007年11月、堀田経営コンサルティング事務所を個人創業。大手家電メーカー、専門メーカー、家電量販企業で実施している社内研修はその実戦的内容から評価が高い。