1981年の日本初演から今年で42年目を迎えるブロードウェイミュージカル『ピーター・パン』。森新太郎が昨年に続いて演出を務める本作に、壮一帆がダーリング夫人役で初参戦を果たす。すっかり夏の風物詩となったこの魅惑のミュージカルへの意気込みを語ってくれた。
「ピーター・パンに恋していました!」――。誇張でもプロモーション用の宣伝文句でもなく、少女時代の壮一帆にとって、ピーター・パンはまぎれもなく憧れの存在であり、夢の国へと連れて行ってくれる特別な存在だったという。
「よく遊びに行ってたお友達の家にディズニーアニメ版のVHSがあって見せてもらって、ピーター・パンのことが大好きになったんです。他人の家で繰り返し見て(笑)、夢の世界に連れてってくれる頼りがいのあるところに惹かれて、冒険にワクワクして…画も音楽もセリフも全部覚えてます」
ダーリング夫人は、ウェンディ、ジョン、マイケルらの母親。
「家族にとって、絶対的に安心できる包容力を持った存在だなと思います。光で全ての人を包み、救う“菩薩様”のようなイメージですね。私とは正反対のキャラクターですが(笑)、だからこそ演じがいがあります。この作品に関しては、役を私に近づけるのではなく、私自身がどこまでダーリング夫人に近づけるかが大事。多くのみなさんが抱いているイメージを壊さないようにしっかりと演じ切りたいです」。
夢の国に足を踏み入れることができるのに加えて、もうひとつ、壮が本作のオファーを喜んだ理由が演出を務める森新太郎の存在。2020年、森演出による『佐渡島他吉の生涯』に出演することになっていたが、コロナ禍で上演中止に。壮にとっては2年越しの夢が叶うことになる。
「玄人向けの舞台ではなく、全世代が楽しめるこのミュージカルの夢の世界で、森さんがどんな演出をされるのか楽しみです。みなさん、『(森の演出は)細かいよ』とおっしゃるんですが、全てに応えたいです」
本作が人生初の観劇体験の子もいるだろう。そんな子どもたち、そして子どもたちと一緒に劇場に足を運ぶ大人たちに向かって壮はこう語る。
「映像作品と違って、その場の空気感や呼吸を生で感じられるのが演劇の最大の魅力。あの空間で俳優と夢の世界を共有してほしいし、親御さんにも一緒に感動して帰ってもらいたいです。私自身、演じながら『ピーター・パン』で描かれるように、大人になって気づかなくなってしまった感覚を感じられるのを楽しみにしています!」