アクションやってみたい!っていう気持ちに火がついちゃいました!
――渡邉さんは、もともとアクションに興味があったんですか。
渡邉 ちょっとやってみたいな~という想いは仄かにあったんですけど、今回の現場で間近で見て、もっと本気で参加したいなと思いましたね。
これまでアクションはまったくやったことがないし、基礎知識も全然ないので、自分にはできないかなって諦めていたんですけど、実際に見て、やってみたい!っていう気持ちに火がついちゃいました!
高岩 近年は、吹替を立てずに自らアクションをする女優さんも多いし、ワイヤーアクションなどにも自身で挑まれる方が増えてきてますからね。
――渡邉さんは普段のアイドルの活動でも踊ったりしているから、身体能力も高いんじゃないですか。
渡邉 そうですね。運動神経はいい方だと自分でも思います。
高岩さんとのジェネレーション・ギャップには驚かされることが多かった(笑)
――今回初めて共演されたお互いの印象も教えてください。
高岩 僕は流石に50代なので、渡邉さんのことも「……坂」というグループのことも知らなくて。それこそ現役アイドルの方と接することはいままでなかったんですけど、渡邉さんはいい意味でアイドルらしさを感じさせなくて。
お会いする前はもっとキャピキャピしているのかな~というのが僕のイメージだったんですけど、年齢も二十歳を過ぎているからしっかりされていた。ホン(台本)読みの段階から、アイドルというより女優さんらしさの方が色濃く出ている感じがしましたね。
渡邉 私は高岩さんの年齢が自分の父親に近かったから、お父さんみたいな感じで接すればいいのかな~と思いながら現場入りしたんです。
でも、実際にお会いした高岩さんはわりと物静かな方だったから、ちょっと距離を測りながら、どう行こうかな~?って感じでいたんですけど、意外と明るい方だったので、そのギャップにビックリしました(笑)。
高岩 いや~僕は渡邉さんとどう接したらいいのか最初のうちは分からなくて。アイドルの女の子と何を話したらいいんだろう?って感じだったんですよ(笑)。
渡邉 高岩さんが苦労されているのは分かりましたけど、私も高岩さんとのジェネレーション・ギャップには驚かされることが多かったですよ(笑)。
高岩 えっ、例えば?
渡邉 例えば一緒に写真を撮ってもらうときに、私がいつも通りのポーズをしていたら、何だ、そのポーズは?って感じで見てきたり(笑)。
高岩 いや、ピースは知っているけど、流石に僕は出さない年齢じゃないですか(笑)。
渡邉 可愛いハートマークなんかも自分からは作らないですよね。
高岩 本当にだから、写真を撮られていても、娘と記念撮影をしている感じになっちゃうんだよね(笑)。
渡邉 私はでも、その、かしこまっている感じがちょっと面白いなと思っていました(笑)。
高岩 ヒデ~!(笑)
大変でした。泣かなきゃいけないのに、なかなか泣けなくて
――撮影中の印象に残っているエピソードも教えてください。高岩さんの演じられたマネージャーの九條は普段は腰が低いけれど、戦うときはクールになるキャラクター。渡邉さんが扮した玲実はちょっとエラそうなアイドルですね。
渡邉 そうですね。玲実はキツ目な子なので、前半では私がけっこう暴言を吐いたり、強く当たっていて、高岩さんはそれにオドオドしながら対応するみたいな演技をしていたんですよね。
でも、高岩さんがちょいちょいリハーサルとは違うことを本番で言ったりするから笑いそうになっちゃって(笑)。
イライラしながら当たり散らすシーンで、ハ~ってうんざりしたような顔をしなきゃいけないのに、いきなり全然違うことを言ってきたから、笑いをこらえるのが大変でした(笑)。
高岩 坂本監督は長回しを多用する方だし、カットがかかるまでは芝居を続けなきゃいけない。
でも、台本に書かれたセリフはもうすべて言っちゃってるので、この状況のときにマネージャーはアイドルにどんなことを言うんだろう?て瞬時に考えて、それを言っただけですよ。
渡邉 でも、ちょいちょいボケますよね(笑)。
高岩 ボケてへんっちゅうの!(笑)
渡邉 ボケたがりなんだ~と思っていたんですよ、私(笑)。
高岩 全然ボケじゃなくて、マネージャーとアイドルの関係で、カットがかかるまでの間をどうやって埋めようかな~と思ってやっただけですよ。
渡邉 確かに、ひとりでずっと喋って、上手く間を持たせてくれてましたね。
高岩 玲実は九條に対してツンケンしている設定なので、僕の顔を見ないですよね。だから、どうにかしてこっちを向かせたいな~と思って。
渡邉 絶対、そうなんですよ! だから、笑わせようとしたんですね。
高岩 いやいや、笑わせようって言うより、どっかでこっちを向かせたいなと思っただけ!
渡邉 どっちにしても、私は笑いをこらえるのに必死でした(笑)。
――渡邉さんの演じられた玲実は、過去のある出来事が原因で、泣かなきゃいけないところでも泣けなくて、逆に笑っちゃうような女の子という設定ですが、あのお芝居は難しくなかったですか。
渡邉 めちゃくちゃ難しかったです。本当にどうやったらいいのか本番まで分からなかったんですけど、自分なりにこんな感じなのかな?って思考錯誤しながらやってみました。
――ここでは詳しくは書けないですけど、九條は玲実を泣かせるために、ある、とんでもない方法をとりますが、あの一連の撮影はいかがでしたか。
渡邉 あそこはなかなかOKが出なくて……。
高岩 けっこうテイクを重ねたよね。
渡邉 あれは大変でした。泣かなきゃいけないのに、なかなか泣けなくて。
高岩 だから、気持ちが高まるのを待って、渡邉さんが行けるってなったらGO!って流れでやったんだけど……。
渡邉 けっこうテイクを重ねたから、途中から何も出てこなくなっちゃって(笑)。あ~、涙が出ない、どうしよう?って焦ったりもしたんですけど、悲しいことを思い出しながら必死に泣きました。
高岩 坂本監督って「あっ、いい感じで~す、いい感じで~す。もう1回行きましょう」って言うんです(笑)。
渡邉 そうなんですよ!「めちゃくちゃいいです、いいです」って言いながらも……。
高岩 「もう1回行きましょう」って(笑)。
渡邉 それをすごく言うから……。
高岩 いいなら、もういいじゃんって思うんだけどね(笑)。
渡邉 これまでにも泣くお芝居はやったことがあるんですけど、あんまり重ねるといいお芝居ができなくなるから、3回以内で終わることがほとんどだったんですよ。それだけに、こんなに重ねるんだ?って思いました。
高岩 でも、回数を重ねても全然テンションが落ちなかったので、流石だなと思いましたよ。
渡邉 いや~私もあそこはチョー集中して、緊張感を切らさないようにしていましたからね(笑)。
高岩 そうしないと、終わらないしね(笑)。
渡邉 本当に、あそこはふざけてられないと思いました。