『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズや『DESTINY 鎌倉ものがたり』(17)などで知られる山崎貴監督の最新作『ゴーストブック おばけずかん』が7月22日(金)から公開される。本作は、どの小学校の図書館で借りられないという『おばけずかん』(講談社)を原作に、“どんな願い事もかなえてくれる一冊の本=おばけずかん”を手に入れた子どもたちを待ち受ける数々の試練と新たな出会い、そして別れを描いた異世界冒険ファンタジー。主人公を演じたのは、是枝裕和監督の『万引き家族』(18)で主人公一家の息子役を演じたことも話題となった城桧吏。城に撮影の裏話や役作りについて、さらには今後の俳優としての目標などを聞いた。
-本作の主人公・一樹役は、500人以上の中からオーディションで選ばれて決まったそうですね。オーディションのときの思い出を教えてください。
最初はすごく緊張しました。でも、オーディション会場に行ったら、(本作で太一を演じた、柴崎)楓雅がいたんです。楓雅とは、以前に別の作品で共演したことがあったので、「久しぶり」と声を掛けて、それで少し緊張がほぐれました。そのときに、実は(サニー役の)サニーマックレンドンもいたので、3人一緒にオーディションを受けていたんです。なので、その後に、僕も楓雅も受かったというのが分かり、オーディションで一緒だったサニーも出演すると聞いて、撮影がより楽しみになりましたし、3人で一緒にできることがうれしかったです。
-一樹役を演じる上で、どんなことを意識しましたか。
一樹は、太一やサニーよりも怖がりなキャラクターなので、足手まといなところがあるというのがうまく出せたらいいなと監督と話し合って演じました。
-一樹と似ているところはありますか。
ビビリなところかな。僕、怖い話は見るのも聞くのも大好きなんですが、夜暗いところは怖くて誰かに一緒にいてほしい(笑)。なので、そこは似ているところかもしれません。
-印象に残っているシーンを教えてください。
(新垣結衣が演じる)瑤子先生が学校にやって来てあいさつをするシーンが、物語の初めと終わりに出てくるのですが、瑤子先生のあいさつの仕方が全く違うのが印象的でした。瑤子先生にもこの冒険がいい影響を与えているんだというのが分かり、感動しましたし、見てくださった方も、この冒険を通じて、瑤子先生のように少しでも明るい気持ち、前向きな気持ちになってもらえたらいいなと思いました。
-瑤子先生役の新垣さんの印象は?
これまで新垣さんが演じていたキャラクターの印象もあって、とても明るい方なんだろうなと思っていましたが、実際にお会いしてもイメージ通りの明るくて、すごく真面目で優しい方でした。撮影現場でも、僕たちが話している姿を後ろから見守ってくださっていました。
-おばけたちとのシーンなど、本作ならではの撮影時の苦労もあったのでは?
図鑑坊のシーンは特に難しかったです。(図鑑坊は)小さいし、動きも早くてあちこち動くのですが、撮影中、実際に目線を合わせることはできないので、目線が合うように演技するのが大変でした。あとは、捕まえようとする瞬間には、(図鑑坊に)蹴られたり、おなかの上に乗られたりするので、本当に図鑑坊がそこにいるように演じるというのが難しかったです。
-ちなみに、城さんが一番好きなおばけは?
山彦です! 跳ね返したり、くるくる回って空を飛んだりする“技”が大好きなので、カッコいいなと思いました。自分もあの技を使ってみたいです。
-では、もし、本作のように願いをかなえることができたら、城さんはどんな願い事をしますか。
英語を話せるようになりたいです。やっぱり、英語を話せると役の幅が広がると思いますし、単純にかっこいい(笑)。学校に英語を話せる子がたくさんいるので、今は教えてもらいながら勉強しています。
-『万引き家族』から本作まで話題作への出演が続いていますが、今、城さんは芝居の面白さをどんなところに感じていますか。
普段できないことも芝居の中では出来たり、いろいろな役を演じることで自分の中の新しい一面を見つけられることに面白さを感じています。
-「俳優の仕事をしたい」と強く思うようになったきっかけは?
『万引き家族』の頃からです。作品の中では、自分では普段できないことができるので、そこも楽しかったです。今まで演じたことのない役柄でしたが、経験のないキャラクターを演じられるのも刺激的な体験でした。逆に自分と似ていると、「自分ならこうする」と勝手に決めて演じてしまってキャラクターとは離れてしまうということもあると聞くので、気をつけて演じなければいけないなと思います。
-普段は、どんな作品を見ることが多いですか。
ファンタジーが大好きです。なので、今作も完成したものを見て、VFXのすごさにワクワクしました。一樹たちが迷い込んだ世界は崖に囲まれているのですが、その崖はぜひ見てもらいたいです。おばけたちももちろん、すごくかわいらしかったのですが、景色や建物にも注目してもらえたらいいなと思います。
-ところで、本作で演じた一樹は小学生という設定ですが、城さんはどんな小学生でしたか。
今も変わりませんが、おちゃらけているタイプでした。一度、盛り上がったら、ずっと笑っているような小学生だったと思います。
-映画の公開を楽しみにしている人たちにメッセージを。
個性豊かな、かわいらしいおばけたちがたくさん登場します。VFXの世界観も素晴らしくて、見応えのあるものになっていると思います。ハラハラドキドキで、きっとまばたきもできないほど入り込んで見てもらえると思うので、一樹たち5人の冒険や成長にも注目してもらえたらと思います。
(取材・文・写真/嶋田真己)