若村麻由美 【ヘアメーク:保坂ユミ(éclat )/スタイリスト:岡のぞみ】 (C)エンタメOVO

 第27回読売演劇大賞優秀女優賞など多くの賞を受賞し、ドラマ、映画、舞台と多岐にわたって活動を続ける若村麻由美。4月8日から上演される、パルコ・プロデュース2026「メアリー・ステュアート」では、イングランド女王エリザベス1世を演じる。本作は、実在のスコットランド女王とイングランド女王の数奇な運命を描いた舞台公演。演出を栗山民也が手掛け、スコットランド女王メアリー・ステュアートを宮沢りえが務める。若村に本作の印象や公演への意気込み、人生において大切にしていることなどを聞いた。


-運命に翻弄(ほんろう)された二人の女王を巡る物語です。演出を務める栗山さんとのクリエイトで楽しみにされていることを教えてください。


 これまでもご一緒させていただいていますが、大好きな演出家さんです。この作品はまず、戯曲がすばらしかった。その上で、栗山さんがどのように演出されるのか、今はとても期待しています。これまでも「なるほど!」と思いながらお稽古させていただくことが多かったですし、いつも私の不安を払拭してくださるので、安心して楽しんで作品に臨もうと思っています。


-本作の戯曲を読んでどのようなことを感じましたか。


 私はあまり歴史的な知識はありませんが、戯曲を読んで、今この作品を上演する意味を一番強く感じました。女性トップリーダーがどれだけの苦悩を抱え、国家、国民のためにと考えていたのか。そうした裏側が描かれています。これはイングランドとスコットランドの話ですが、今だからこそ見えてくるものがきっとお客さまの中にもあるのではないかと思います。そうしたところがすごく楽しみです。


-エリザベス1世、そして本作の魅力はどこにあると思いますか。


 この戯曲は、幽閉されたクイーンと国家の中に幽閉されたクイーンの物語です。それはどちらも牢獄にいることになるのでしょうか。エリザベスは(身体的に拘束されているわけではないから)いろいろな差配もできますが、選択肢が少ない中、いかに自分の信念を貫いていくのか苦悩します。バージン・クイーンという呼び名の通り国家と結婚して、それでも自分の思うようにならずに生きていきます。子どもの頃から虐げられ、幽閉され、突然「クイーンになれ」と言われて、自由に選択できない中で女王になり、その責務を果たすという強い信念の元に生きる人です。なかなかそのようには生きられませんが憧れるところもあります。そういう意味で、演じさせていただけることをとても楽しみにしています。


-エリザベス1世について、本を読まれたり、知識を得られていく中で、最初の印象から変化を感じる部分はありましたか。


 「よろいを着た女性」というイメージを持っていたので、より人間的だなと感じるようになりました。愛を含めていろいろな感情を持っていて、女性として思うようにならないことが多い中、信念を貫いていこうと覚悟を決めるというのは本当にすごいことだなと思いました。


-対峙(たいじ)するメアリーの人物像に関して、今はどのように考えていますか。


 対照的な二人だと思いますが、置かれた境遇という意味では、どちらも幽閉されているという共通点があります。先ほども話しましたが、牢獄にいることが捕らえられていることなのか、牢獄にはいないけれども捕らえられているのか。そうしたことを感じながら見ていただけるのではないかと思います。(取材当時は)栗山さんがどのように演出されるのかまだ分かりませんが、現代にフィードバックができる物語になるのではないかと思います。

-エリザベスという役を作り上げていく上でメアリーの存在があるからこそ、エリザベスの立ち位置やキャラクター性がより見えてくるということはありますか。


 そうですね。メアリーも背負わされているものがありますから。それぞれの国家、そしてカトリックとプロテスタントの問題が大きな力を持っていて、個人の考えでどうにかできるものではないという背景があります。その対立は日本人には理解が難しいかもしれませんが、そうしたことを栗山さんがどのように演出されるのかとても興味があります。


-宮沢りえさん、橋本淳さん、段田安則さんなど実力派のキャストがそろっていますが、共演者の皆さんの印象や今回のカンパニーで楽しみにされていることを教えてください。


 本当に素晴らしいキャスティングだと感じています。個性豊かで、丁々発止の皆さんなので、面白くないわけがない。そうした方たちとご一緒できることが楽しみであると同時に、エリザベスとして従えられるよう「負けないぞ」と思ってもいます。エリザベス自身も駆け引きのようなことをしながらも、自分の軸を持って生きていた人なので、しっかりと演じなければなと考えています。


-エリザベス1世は国のために生きると誓った女王ですが、若村さん自身は人生において何を大切にされていますか。


 最近、毎朝、「今日も新しい1日をほがらかに、健やかに、喜んで、味わって生きよう」と声に出しています。それが今、私が一番大事にしていることです。


-日々、生きていく中ではつらいことや悔しいこともあると思いますが。


 そうしたことも含めて、さまざまなことを味わい尽くして生きたいです。「新しい1日だ」と思うだけでも、全てのことが違う見方ができる。もし、前日に大変なことが起こったとしても、朝になれば「新しい1日」が始まるんです。それは忘れるという意味ではなく、新しい1日をニュートラルな状態で迎えるということです。そう考えることで、毎朝リセットできて、新たな感覚で1日を過ごせます。人生、いつ終わるか分からないので、「新しい1日だ」と思って、味わって生きようと思っています。エリザベスのような壮大な誓いではないですが、私の中でのある意味では「誓い」です。


(取材・文・写真/嶋田真己)


 パルコ・プロデュース 2026「メアリー・ステュアート」は、4月8日(水)~5月1日(金)に都内・PARCO劇場ほか、福岡、兵庫、愛知、北海道で上演。