写真:黒豆直樹

東京・上野の国立科学博物館の特別展「化石ハンター展 ~ゴビ砂漠の恐竜とヒマラヤの超大型獣~」が7月16日(土)に開幕した。

伝説の“化石ハンター”ロイ・チャップマン・アンドリュースが率いた調査隊が1922年に中央アジアのゴビ砂漠への探索を開始して100年となることを記念したこちらの特別展。恐竜の化石ではなく、それを発掘する人間(=化石ハンター)に焦点を当てた点が、従来の化石展や恐竜展と異なるユニークなところだ。

第1章ではまず、アンドリュースの少年時代から彼が博物館に職を得て、ゴビ砂漠への探検に至るまでを紹介。続く第2章では、1922年から1930年にかけて行われた、アンドリュース率いる中央アジア探検隊の功績に迫る。アジアにツノのない角竜類がいたことの証拠となったプロトケラトプスやプシッタコサウルスの化石、恐竜の卵の発見という古生物の世界の歴史を変える発見を標本資料などで紹介している。また、ラクダのキャラバンと自動車隊の2編成部隊で行われた当時の探検隊の編成や当時の測量技術についての展示も見ることができる。

第3章ではアンドリュースに続く化石ハンターたちによる発掘の成果について、第4章では中央アジア探検隊の本来の目的であった、人類の起源につながる哺乳類化石の発見について解説。史上最大の陸生哺乳類であるパラケラテリウム、史上最大の陸生肉食哺乳類のアンドリューサルクスの標本(複製)も展示されている。

第5章以降では、展示の対象がヒマラヤに。ヒマラヤ山脈、チベット高原の成り立ちや環境の変動が生物の進化にどのような影響を与えたのかについて解説する。特に、ヒマラヤを北極、南極に次ぐ“第三の極地”とし、チベット高原に生息していた哺乳類が寒冷環境に適応して、氷河時代に各地に放散したとする「アウト・オブ・チベット」説を紹介。この新説提唱のきっかけとなったチベットケサイの全身骨格と生体復元モデルを世界初公開している。

なお、本特別展の音声ガイドを担当するのは、声優の杉田智和と釘宮理恵。古生物学者を夢見るエリコ(釘宮)がハカセ(杉田)の解説で展示を巡るというストーリー仕立てのガイドとなっている。オリジナルグッズではチベットケサイのぬいぐるみ、人気パペットアニメ「PUI PUI モルカー」との特別コラボによるグッズも展開されている。

特別展「化石ハンター展 ~ゴビ砂漠の恐竜とヒマラヤの超大型獣~」は10月10日(月・祝)まで国立科学博物館にて開催中。

文:黒豆直樹