さる7月2日、人気アニメシリーズ・ガンダムの最新作が発表され各メディアがニュースとして報じた。
10月からテレビ東京系列で放送される新作のタイトルは『ガンダムビルドファイターズ』。公式サイトの情報やPVを見るかぎり、組み上げたガンプラ(ガンダムプラモ)で仮想バトルを繰り広げるホビー色の強い作品になりそうだ。
似たような路線では2010年に公開された短編オリジナルアニメ『模型戦士ガンプラビルダーズ ビギニングG』が高い評価を受けており、今度こそキッズ層――“次世代のガンダムファン”開拓が期待される。
このように初代『機動戦士ガンダム』から数えて来年で35周年、まだまだガンダムの世界は広がり続け、ガンプラ発売数はすでに累計4億個(!)を超えた。かつてのガンダム少年は社会人になり、いまや親子でガンダムを鑑賞することも少なくないという。
そこで今回は新作発表を機に、初代ガンダム世代の上司と円滑にコミュニケートするための“ガンダム発祥の言葉”をガイドさせていただきたい。
ガンダム世界ではニュアンスが異なる「黒歴史」
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まずはインターネットを中心として広く使われるスラング「黒歴史」。あの清純派アイドルの黒歴史……といった感じで“触れられたくない、無かったことにしたい過去”の意味に用いられる。
実はガンダム発祥の言葉で、初出は1999年に放送された『∀(ターンエー)ガンダム』。∀ガンダム自体、“すべてのガンダム作品が終わった最後の時代”と設定されており、シリーズの中では特殊な位置づけとなっている。つまりまったく別世界の話と思われていた個々のガンダム作品が実は同じ世界の出来事で、最終的には∀の時代に行き着くというわけだ。
∀の作中では初代ガンダムにはじまり、以降すべてのガンダム作品で繰り広げられた戦争の映像記録が“戦いをやめられなかった人類の悲しい歴史”=黒歴史 と呼ばれ、月の宮殿に封印されている。ここから転じて、無かったことにしたい過去を一般にも黒歴史と呼ぶようになった。
スラング的に使うのは問題ないが、ガンダムオタクな上司との会話で使うときは注意が必要。オリジナルの意味とはニュアンスが異なっているからだ。ガンダム界では黒歴史を「悲しい戦争の歴史」としながら、同時に「これもまた人類の歴史の一部なので、決して忘れてはいけない」という若干ポジティブな意味も含んでいる。
だから上司にうまく話を合わせたつもりが、逆に機嫌を損ねてしまうことにもなりかねない。あるガンダム作品を黒歴史(=正式なガンダムシリーズ)と認めたくない、保守的なファン層も存在するのだ。
【会話例】
上司 「近ごろのガンダムはつまらないな。特に『ガンダム△△』、あれは脚本も売上も最低な失敗作だったよ」
あなた 「ええ、まったくです。“黒歴史”ですよねー」
上司 「よしてくれ! あんなの黒歴史と思いたくない。本当に公式記録から消し去って欲しいくらいだ!」
あなた (……え? それを黒歴史と言うんじゃないの……???)