篠井英介、深沢敦、大谷亮介の3人が女優として女性を演じる“3軒茶屋婦人会”。「3人のおじさんが、絶対いつも女しか演じないぞという志のもとに20年近くやってきたユニットです」(篠井)。2003年に結成し不定期に上演を重ね、前作から7年を経て『アユタヤの堕天使』を上演する。演出は、篠井が「4番目のおばさん」と言うG2が初回から担当。今回は作・演出の3作目で、前回に続き3話のオムニバスだ。東京公演は「笑った後に胸がキュンとした」という声が多かったそう。篠井は、映像では悪役などクセの強い役柄が多いが、舞台では女形の役者として35年のキャリアを持つ。そんな彼が好評の東京公演を終えて来阪、大阪公演に向けて作品の見どころや意気込みを語った。

3軒茶屋婦人会 第7回公演「アユタヤの堕天使」チケット情報

今作は一昨年の上演予定がコロナ禍で中止、G2は全編新しく書き直した。「おじさんたちがやるからこそ立ち上がってくる女性の本質、喜怒哀楽のようなものがよく出ている作品になったのではないかな」と篠井。違う時代、違う場所に生きる3人の女たちの3つの物語。1作目は、明治時代末期の京都・祇園が舞台の『モルガンお雪の決断』。アメリカの大富豪・モルガン家に嫁いだ芸子・お雪の史実に基づく話。「雪子がお嫁に行くことを、どう決心したかというフィクションです」。篠井は23歳のお雪を演じ、3人全員が花街の京言葉に挑む。

2作目は昭和初期の中国・上海の女優たちを描く『上海ハニートラッパー』。「20代の女スパイ3人が出会って…というお話。チャイナドレス姿をお楽しみください(笑)」。3作目が『アユタヤの堕天使』。タイに移住し、風俗にハマった3人のアラフォー日本人女性の話。チラシは「深沢君がタイマニアで『タイ舞踊の格好をしたい』と言うから。僕たちいつもチラシに命懸けなんです。でも、物語の中であの格好はいたしません(笑)」。3作を通して「どう生きるか、もがいたり、おもしろがったりしている女性たち」がいる。3作で3パターンの女性を演じる3人。「もう、いっぱいいっぱいで大変!」と言いつつ「3人のおっさんたちが9人の女をどう演じ変えていくか。きっとお楽しみいただけると思います」。

笑いも多く、ほかにも「私の日舞、深沢君の歌、そして大谷さんのウクレレ。1人一芸、持ってるものは全部出すぞ、と(笑)。フィナーレには3人で歌ったり踊ったり、短いショーを1曲。ファンタジーの中で、皆さんの心に染みる、あるいは暑気払いになったと楽しんでいただくのが僕らの目的。上演時間は1時間40分、日頃の憂さ晴らしに最適です」。

公演は8月27日(土)・28日(日)、大阪・近鉄アート館にて。チケット発売中。

取材・文:高橋晴代