“上海の薔薇”と呼ばれた日本人ダンサー・マヌエラ の半生を描いた舞台『マヌエラ』が2023年1月15日(日)から東京・東京建物Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)ほかで上演される。
時は第二次世界大戦前夜。永末妙子はSKDで将来を期待されながらも、駆け落ちし、生きていくためにダンスホールの踊り子となった。そこで、かつてムーラン・ルージュのスターであったパスコラに見出され、国籍不明の一流スターダンサー“マヌエラ”が誕生する――。1999年に天海祐希の主演で初演された本作が、約24年ぶりに元宝塚歌劇団月組トップの珠城りょうの主演で蘇る。
「作品が非常に興味深いなと思いました。もともとストレートプレイに挑戦したいという気持ちがありましたし、この作品はダンス、音楽も入ったエンターテインメントですが、ストレートプレイの要素も大きくあり、いつも拝見しているパルコのプロデュースだったので、その点でもぜひ挑戦したいと思いました」と、本作への出演を決めた理由を話す珠城りょう。自身、宝塚歌劇団在団中からいろいろな演出家の舞台に足を運んできたといい、「宝塚は華やかな夢の世界を一つのエンターテイメントとしてお届けすることに重きを置いていますが、ストレートプレイはリアリズムを追求して、人々の葛藤や醜い部分もリアルに表現されている。お芝居だから“嘘”ではあるのですが、現実のように感じられることが面白い」と魅力を語る。
初演ではマヌエラ を天海祐希が演じていたが、珠城は「演出もキャストも変わり、また違う形でやらせていただきます。初演の方々への敬意はしっかり持った上で、自分なりの『マヌエラ』という舞台をつくっていけたら」と気を引き締める。現時点で感じるマヌエラの魅力を尋ねると「自分の意見をしっかり持っていて、それをはっきり言葉で人に伝えることのできる、強い人。悪い見方をすれば、きつい女性に見えがちなのですが、彼女なりに女性としての葛藤があったり、その時代その土地でどう生きていくかを模索していたり。弱さや儚さも感じます」。
2022年は珠城にとって「俳優として新しい人生を歩み出した」年。「いろいろな作品などに挑戦させていただきました。特に、自分を応援してくださっている方々に喜んでいただけるものに挑戦できたことが非常に有り難い。自分もとても楽しく、やりがいを感じていました」と振り返る。本作が2023年最初の舞台。「『マヌエラ』というまた新しい挑戦から始まります。自分の新しい一面を模索しながらやっていけたらいいなと思っています」と抱負を語った。
脚本は鎌田敏夫、演出は千葉哲也。そのほかの出演は、渡辺大、パックン(パックンマックン)、宮崎秋人、宮川浩ほか。東京公演は1月23日(月)まで。大阪公演は1月28日(土)、29日(日)、森ノ宮ピロティホール。福岡公演は1月31日(火)、北九州芸術劇場大ホール。
取材・文:五月女菜穂