ベテラン勢から人気アイドルにも「花火」の名曲多し!

 

槇原敬之の『花火の夜』も、別れた恋人への思いを歌ったナンバー。“君”との触れ合いを心のなかで呼び起こし、<今遠くにいる君からも/この花火がみえればいいのに>と願う。この奥深い歌詞には、年齢や性別を超え、多くの人に共感され続ける普遍的な魅力が確かに宿っている。哀切な感情とぴったり寄り添うようなメロディライン、ラテン・テイストを取り入れたサウンドにもぜひ、注目してほしい。

 

さらに深い哀しみ、孤独を感じたいときには、吉田拓郎の名曲『せんこう花火』がおすすめ。愛する人との別れをひとりで受け止め、“何でもないのに泣きました”と歌われるこの曲には、男の哀愁が濃密に描き込まれている。どこか軽やかな印象を持ったメロディ、アコースティックな手触りのアレンジもまた、主人公の哀しみを際立たせていると思う。

 

現在のJ-POPシーンを代表するグループ、いきものがかりも魅力的な花火ソングを持っている。’06年にリリースされた2ndシングル『HANABI』。ドラマチックな旋律、高揚感あふれるビートを軸にしたサウンドのなかで、遠くへ旅立っていく恋人に対する思いを歌ったこの曲は、青春の儚さと直結している。吉岡聖恵の凛としたボーカルもとても印象的だ。

 

SKE48の『花火は終わらない』もまた、思春期の恋をモチーフにした楽曲。夏休みの夜、学校の屋上で、好きな人といっしょに見る花火――こんな“君と僕の特別な青春”を経験してみたかった!という人も多いのでは? リスナーの妄想をかきたてる楽曲をまっすぐに表現できることも、現在のアイドル・グループの大事な要素なのかも……。