演劇ユニット「富山のはるか」による新作舞台『バーン・ザ・ハウス』が2022年11月17日(木)から東京・シアター・バビロンの流れのほとりにてで上演される。

舞台は、とある地方の村。大槻ヨダカは母の葬儀を終え、障害を持った兄・アサトと今後について話し合っていた。すると、突然行方不明だった父・丈太郎が現れる。「この家は呪われている!」。丈太郎の言葉を発端に大槻家を怪奇現象が襲い始める。霊媒師、友人、父親、そして兄……。さまざまな人物を巻き込んでヨダカの物語は思いもよらぬ展開を迎える。ヨダカたちを襲う呪いの正体とは一体……。

2014年に演劇ユニット「富山のはるか」を旗揚げした、演出家の松尾祐樹。これまで海外のアーティストらと積極的にコラボレーションを手掛けてきたが、コロナ禍になり、「改めてどういう作品を作るかを考えたときに、演劇の楽しさを詰め込んだ作品を作りたいと思いました」という。今回、ホラーというジャンルを選んだのは「お化け屋敷のように、目の前に役者がいて、照明や音響も含めた体験をすること。そこが演劇が素敵だなと思うところだから」といい、「簡単に手放すことのできない『家』という『縛り』を大袈裟にホラーに置き換えたらどうなるんだろう、と。それが最初の発想でした」。

主人公のヨダカを演じるのは、緒形敦。自身、俳優一家に生まれ育ったというバックグラウンドを持ち、「俳優を始めたばかりの頃は、緒形という苗字をネガティブな『縛り』に感じていました。ただ、経験を重ねていく中で、ポジティブに捉えるようになって。この『縛り』はずっと続くし、向き合うほかないと思っています」と語る。演じるヨダカについては「共感できるシチュエーションが多くありました」といい、「長い目でみた時に、この作品が自分のターニングポイントになるように。役者としてはもちろん、人間としても成長できたら」と意気込んでいた。

本作に出演する東迎昂史郎は、所属している劇団「ゴジゲン」以外からのオファーに「純粋に舞い上がりました」と笑顔。一方で、石垣島出身の東迎は「30歳を過ぎて、親のことや家のことの話題が増えたんです。この脚本を読んで、身につまされる思いになりました」といい、「舞台に出演している全員が存分に身体を動かしているエネルギッシュな舞台です。観終わった後に、きっと何か引っかかるものがあるのではないかなと思います」とPRした。

公演は11月20日(日)まで。

取材・文:五月女菜穂