全部が少しずつスペシャルになっている映画

(C)かきふらい・芳文社/桜高軽音部
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――『けいおん!』らしさってどのあたりにあると思いますか?
 
ぶっちゃけていうと、唯たちが宇宙人に出会っても『けいおん!』らしい作品を作ることができると思うんです(笑)。とにかく、“唯たちがいる”ということが『けいおん!』らしさだと思います。キャラクターがそこにいるってことですね。もし唯が記憶喪失になったとしても、作れてしまうかもしれない。
 
――『けいおん!』はヒット作になりましたが、反響の大きさを感じる瞬間は?
 
友人からメールをもらうときです。アニメに興味を持っていない友人が「こんなのがあった」とか「こんなことするらしいね」とメールを送ってくれることがあって。そういうときは驚きます。すごい、その人たちの目に入るようになっているのか、と。実は第1期の最初の脚本を見たときに主人公の唯がきらきらして見えたので「この作品はきっと素敵になる」って思ったんですよね。そのころから、自分の感覚は変わっていません。
 
――映画の肩の荷が下りた瞬間は?
 
まだ、肩の荷が下りた感じはないんです。でも、キャラクターデザインの堀口悠紀子さんが試写を見て「すごく良かった」とおっしゃられて。その時点で肩の荷が下りたような気がします。とくに私にとっては堀口さんの反応が気になっていましたね。彼女もすごく『けいおん!』が好きで、作品を大事にしていらっしゃる方なので。たぶん堀口さん自身も『けいおん!』をうまく描けているか、不安だったんだと思います。
 
――女性スタッフならではの特徴ってありますか?
 
女性で良いなと思うところは母性を感じるところですね。キャラクターを見る目線が“お母さん”なんですよね。「こんなに足を出して」「お腹を出したら冷えるがな!」って。そんな感覚で唯たちを見て、作品を作っている。「お母さん許しませんよ!」と。キャラクターに対して絶対的な愛を感じます。恋愛とはちょっと違うし、良いところだけを見ているわけじゃない。ちゃんと芯まで彼女たちを見ている感じがあります。
 
――映画の見どころをお聞かせください。
 
映画はお金を払って見ていただくものなので、いつもどおりではないちょっとスペシャル感を意識しましたし、『けいおん!』の雰囲気は絶対守りたい、その両立がちょっと難しかったですね。演奏シーンも画づくりも、ひとカットの中に納めるキャラクターの数も多いし。ひとつひとつはささやかなことかもしれないですけど、その積み重ねがスペシャル感につながっていると思います。あ、もちろんお話もいつもよりもしっかりしたものになっていますよ。
 
 

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