私の欄を書いた離婚届を夫に渡し、実家の母親に『離婚するから帰りたい』と伝えると、
『後悔しないようにね』
とだけ返してくれて、特に反対などはありませんでした。
友人たちの『離婚は恥ずかしい』と言っていた顔が頭に浮かびましたが、この頃にはもう
『不幸な結婚生活にしがみつくほうが恥ずかしい』
と思っていて、周りに何を言われようが胸を張って生きようと決めました。
いざ自分が離婚することになって、離婚の原因は本当に人それぞれだけど、『別れる勇気を持てることを否定してはいけないのだ』と強く思いました。
夫とはその後学費の支払いなどで揉めましたが、平等に負担する代わりに貯金や生命保険の返戻金もしっかり半分に分けることで決まりました。
つまらなそうな顔で銀行のカードと印鑑をぽんと投げ、『ごまかすなよ』と口にする夫にはまだ恐怖を覚えたし動悸も激しかったけれど、『これからはこんな扱いを受けなくて済むのだ』と思うと本当に前向きな気持ちになれましたね。
離婚は恥じゃない、財産だって別れるなら半分にするのが当たり前、こんな『常識』を改めて感じることができて、あのとき勇気を出してよかったと思います」(53歳/総務)
離婚を恥とする風潮はいまだ強く、ないがしろにされても耐えるのを「妻の仕事」とする人は絶えません。
ですが、その恥を嫌うばかりに自身が不幸になる結婚生活が、本当に正解と言えるのでしょうか。
世間の見方ではなく自分の決断に自信を持つ、不幸な結婚生活を終わらせる勇気を持てる姿こそ、人生を歩む正しい姿勢ではないかと感じます。