――たとえば歌い方ひとつとっても、ほぼ原曲通りの歌い方をされている方もいらっしゃいますし、まったく違う方もいます。それが面白いなと思いました。『Serafine』も女性ボーカル(宝野アリカさん)なので、それだけで全く違う印象を受けますよね。

岡野:あの曲だけはキーを高くしてますね。物理的に変えざるをえなかった。他の曲はキーも原曲と同じなんですけど。だからギターのアプローチも少し変わっていてそれも聴きどころですね。

――参加される人にとっても新鮮なレコーディングだったんじゃないですかね。

大島:みんな「面白かった」と言ってくれてるよね。
 

『DEAD END『DEAD LINE』』当時のインディーズシーンでは異例のセールスを記録

岡野:初期の『DEAD LINE』の頃の曲『Perfume Of Violence』や『Sacrifice Of The Vision』『Spider In The Brain』とか、あのへんの曲っていわゆるジャパメタで、なかなか今どきそういう曲をレコーディングする機会ってないじゃないですか(笑)。俺自身も現場で「こういう曲の仕事って最近無いよね」って。いい大人がムキになってジャパメタを一生懸命やって。やってる方も「もう一回おねがいします!」って、すごいムキになって(笑)。

大島:akiくんもすごくこだわってたもんね。どの曲が自分に合うかわからないから、「カラオケに行って歌ってみて決めます」って言ってなかなか返事がこなかったり(笑)。

岡野:彼は『DEADLINE』と『GHOST OF ROMANCE』のジャケットをスピーカーの上に飾ってレコーディングしてましたからね。「神だから」って祭壇にして(笑)。

――トップクラスのミュージシャンたちが(笑)。そうさせてしまう力がDEADENDにはあるんでしょうね。

大島:cali≠gariも、マネージャーさんに進捗を聞いていて「後はギターソロだけです」という感じになってから、出来上がるまでに2、3ヶ月かかってるんですよ。青ちゃんが悩んじゃって。それで「ギターだけ誰か他の人に頼んじゃダメですか?」って言うもんだから「ダメです!」と(笑)。

――そのおかげなのか『Blind Boy Project』はすごくcali≠gari色の強い曲に仕上がってますね。おふたりから見て、出来上がってきたものを聴いて予想外だったと感じた曲はありましたか?

大島:『Perfume Of Violence』と『Sacrifice Of The Vision』かな。もともとDEAD ENDは4人編成でキーボードがいないんですけど、SOPHIAの都(啓一)くんとJanne Da Arcのkiyoちゃんが参加してくれてるんです。原曲にもシンセは入っていたりするんですが、都くんのオルガンも、kiyoちゃんのシンセも、かなり自由で面白かったです。マーティ・フリードマンのギターも、弾きまくりですごかったし(笑)。

岡野:自分が関わった曲に関しては、オリジナル作品を手がけていた当時は技術や音響的な問題でできなかったことや「もうちょっとこうしたかったな」という部分をもう一回やり直したところはあったかな。自分がベースを弾いた曲なんですけど、『Embryo Burning』はHYDEくんも「今の音でDEAD ENDを演りたい」みたいなことを言ってて。今それを同じ景色のまんまさらにグレードアップさせるというところには神経を使いましたね。

どの曲もそういう意味では「あーこういう風に聴こえるのか」というのは新鮮な気持ちで聴けたんで。レコーディング中はすごくハッピーでしたね。

――なかなかこういう形式のアルバムはないですよね。

岡野:無いですよ。僕も初めてですよ。

大島:みんなやらないですよ。手間がかかりすぎますもん(笑)。