TVドラマ『半沢直樹』が大ヒットし、決めぜりふ「倍返し」は2013年の流行語大賞に選ばれそうなほど。視聴率30%超え、ドラマのヒットで原作小説もミリオンセラー突破、さらに海外でも話題になるなど、その勢いはとどまるところを知らない。

そこで今回は、半沢直樹にハマった人におススメな「決めぜりふ付き、現代が舞台の“倍返し”」ストーリーを漫画・アニメからチョイスしてみた。

 

『ジョジョ』作者の鮮烈な連載デビュー作! 『魔少年ビーティー』

●決めぜりふ 
「くらわしてやらねばならん! 然るべき報いを!」

意外に知られていないが、『ジョジョの奇妙な冒険』作者・荒木飛呂彦の初連載は紛れもない“倍返し”のストーリーだった。今からちょうど30年前、1983年に週刊少年ジャンプで連載された『魔少年ビーティー』である。

主人公は通称ビーティーと呼ばれる小柄な少年。クールで知的な顔立ちだが、実はとんでもなくクセが強い、良心ゼロの性格破綻者。彼が牙をむくのは、自分に暴力を振るった者、自分を陥れた者たち。いじめっ子や通り魔的なサイコ野郎はもちろんのこと、憧れの女子生徒に色目を使ったイケメンのように「それは逆恨みでは…?」な相手までさまざまだ。

怒りがピークに達して「然るべき報いを!」と口にしたビーティーの復讐方法は一切の容赦がなく凄絶。高レベルな手品の技術、そして医学や心理学、ハッタリも駆使して相手を肉体的・社会的に再起不能に追い込む。

あまりにダーティな作風のため少年ジャンプには合わないと編集者たちから叩かれ、連載そのものがお蔵入りになりかけたと言われる曰くつきの一作。だが読んでみると新人とは思えないほど実力が飛び抜けていることに驚かされる。

また、『ジョジョ』キャラの原型が見られるのでファンにもおススメ。主人公ビーティーはディオの冷酷さ、ジョナサンの誇り高さ、そして復讐に使用するトリックの数々がジョセフのモデルになっていると思われる。善良な友人の「公一くん」などはジョジョ第四部に出てきた「康一くん」そのままだったり、元ネタ探しがなかなか楽しい。