“ひょっとしてパートナーが浮気してる?” 愛情に疑問を感じたとき、頼りになるのが調査のプロフェッショナル・探偵。
しかし実は、正しいと思った行動が結果的に逆効果となり、依頼そのものを台無しにしてしまうことも。そうならないために元探偵が「浮気調査のNG行動」をこっそり教えます。
1.複数の探偵に依頼する
一人の相手を調査するのにA社とB社へ同時に依頼する。もし片方が失敗しても残った片方が成功させてくれるだろう。成功率が2倍にアップだ!‥‥そんなことは断じてありません。絶対に避けてほしいNG行動です。
プロの探偵は調査の「つながり」を意識して動きます。先週末は新宿南口で急にキョロキョロしはじめたから安全のため尾行中断した。浮気相手との待ち合わせ場所である可能性が高いから、今週末は別の調査員を新宿南口に先行させて挟み撃ちにしよう。こんな感じで情報を蓄積し、調査に携わる全員で共有します。ハンター集団が獲物をじわじわとゆっくり、確実に追い詰めていくイメージですね。
もし2社に同時依頼してしまうと、こうした連携が崩壊します。A社の新米調査員が下手な尾行で怪しまれてしまい、それを知らないままB社が翌日尾行すると悲惨な結果になります。ベテラン調査員であっても尾行成功は至難でしょう。最悪、ベテランのB社ですら「ここまで極度に警戒されたら手も足も出ません。少なくとも半年間は様子を見ましょう」と依頼中断を申し出てくるかもしれません。
依頼前、見積もりの段階で2社以上に相談することは大賛成です。何人もの相談員に自分のプライバシーを話すことはストレスかもしれませんが、探偵社ごとの調査ポリシー、料金体系などの違いが見えてきて視野は格段に広がります。その後は必ず1社だけに絞り込んで依頼するようにしましょう。
2.テレビで見た探偵像を押しつける
ドキュメンタリー番組やドラマでは、たびたび探偵が登場します。一般の人は本物の探偵に会うことなどまずありませんから、テレビの「いかにも本物っぽい」探偵像を信じてしまうかもしれません。でも、現実に依頼するときはこのイメージに引っぱられないでください。
実際の調査では、なかなか1回の尾行や張り込みでは完璧な結果を出せません。筆者が勤めていた探偵社にもテレビ制作会社から何度かドキュメンタリー番組の出演オファーが来ましたが、あれはすべて仕込みです。やらせです。だから放送時間にぴったり収まるように浮気相手が現われ、都合よく張り込みやすいラブホテルに入ったりするわけです。そもそもフィクションの探偵ドラマに至っては、視聴者に分かりやすくするためか調査方法が根本的に間違っていたりします。
そこを誤解したまま依頼されると困ってしまいます。探偵側は最も合理的なアプローチで調査を進めているのに、中間報告するたびに「なんでそんな何日もかかるのよ!」「わざと引き延ばして経費を水増し請求するつもりでしょう?」などなど‥‥。「次からは私が指示する方法で張り込んでちょうだい」と、明らかにテレビで聞きかじっただろうと思われる無茶苦茶な方法を押しつけてこられることもあります。
探偵はしょせん雇われの身ですから、依頼人がどうしてもと言うなら指定された方法でやることもできます。ですが、テレビで見たやり方が通じるほど現実の浮気調査は甘くないのです。