2019年に上演され、好評を博した舞台『BACKBEAT』。再演の幕開けを飾る製作発表は、「Rock And Roll Music」のラウドなバンドアンサンブルから始まった。主人公であるスチュアートを演じる戸塚祥太(A.B.C-Z)、ジョン・加藤和樹、ジョージ・辰巳雄大(ふぉ~ゆ~)、ポール・JUON(FUZZY CONTROL)、ピート・上口耕平が、続けて「Love Me Tender」「Long Tall Sally」とビートルズナンバーを演奏。既に初演を通じて共に演奏してきただけに、チームワークの確かさを感じさせる。
そして、スチュアートと恋に落ちる写真家アストリッド・キルヒヘルを演じる愛加あゆ、実際のビートルズ来日公演で前座を務めた経験もある尾藤イサオも加わり、キャスト7名による質疑応答が行われた。
演奏を終えたばかりの戸塚らは、まだ興奮が冷めやらぬよう。「4年という歳月を一気にタイムスリップした感覚で、『これを求めてたんだ』って(いう思いが)体の中に沸き起こってきました」と笑みを浮かべた。
さらに初演では、ほとんどギターを弾けなかったのに出演を志願したという辰巳が、最初は演出・石丸さち子らを「あんなに人って口が開くんだってくらい」(辰巳)呆然とさせたところから、1日8時間以上の猛練習を経て本番では立派に演奏をこなしたエピソードを紹介。再演でさらに練習を重ね、ついにギターソロまでこなすように。「彼のギターが大好き。ソロを弾いてくれたりするとぶっちゃけ上がります!」(JUON)と、メンバーにとっても大きな刺激であるらしい。
初演後もグループメールで繋がっていたという5人。「JUONくんが僕らのために曲を書き下ろしてくれたので、いつかみんなで演奏したい!CDデビューもライブツアーもしたい!」と辰巳が語れば、ラーメン二郎に心酔する「ジロリアン」として知る人ぞ知る加藤が自前で仕込んだラーメンでメンバーをもてなすなど、「小さい時から一緒に育ってきたような、安心感があって飾らない自分でいられる仲間」(加藤)の絆は揺るぎないようだ。
そんな彼らだからこその、芝居と演奏との融合。それを上口は「心の流れと一緒に演奏も変わっていく」と表現。再演ではさらにシンクロ度を上げていきたいと意欲を見せた。
そして最後は戸塚が「再演とはいえ過去の自分たちをなぞらずに進化した自分たちで皆さんの前に立ちたい。『BACKBEAT』はここでしか体験できません。劇場で会いましょう!」と力強く締めくくった。
取材・文:金井まゆみ