撮影:五月女菜穂

ミュージカル『RENT』が2023年3月8日(水)から日比谷シアタークリエで開幕した。

1996年の初演以来ブロードウェイで12年4ヶ月のロングランを果たし、2005年には映画化もされた本作。日本では1998年に初演された後も、繰り返し再演されている。今回はおよそ2年ぶりの再演で、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で開幕後に公演中止を余儀なくされた前回(2020年)公演のメンバーの多くが出演している。

初日を前にした7日(火)、初日前会見とゲネプロが行われた。

マーク役(Wキャスト)の花村想太は「この作品では、 自分たち自身のしんどい部分や辛い部分を曝け出してステージに臨んでいる。そんな僕たちから出るパワーを劇場で感じていただき、みなさんが生きていく中での糧になれたら嬉しいなという思いを込めて、ステージにあがりたい」と意気込んだ。

同じくマーク役の平間壮一は、前回(2020年)公演からバージョンアップした点を問われると、日本版リステージのアンディ・セニョールJr.ら海外スタッフが来日できたことを挙げて「『RENT』の面白いところは、役者自身の人生観や役者同士の空気感がにじみ出ることだが、アンディたちがそれらを1つにまとめてくれて。やっと『RENT』ができるなという感じで、僕も楽しみ」と話した。

ミミ役(Wキャスト)の八木アリサも「(前回は)リモートでの稽古だったが、生での指導になった。こんなにも掴める空気や感覚が違うんだと思った」と話し、同じくミミ役の遥海は「前回一緒だったけれど、今回出演しない方々は(公演中止になって)本当に悔しかったと思う。まさに“NO DAY BUT TODAY”で、1回ずつの公演を命がけで突き進んでいきたい」とリベンジを誓っていた。

ロジャー役(Wキャスト)の甲斐翔真は「ロジャー役は僕がミュージカル人生で初めて勝ち取った役で、2年前は体当たりで演じた記憶がある。僕は再演自体が初めてで、1回やったことをもう一度料理する難しさを感じたが、アンディに『その悩んでいる感じを活かせばいい』と言われて。自分の感情に正直に生きられたら」と話し、同じくロジャー役で、今回が初参加となる古屋敬多は「リアルを求められる作品なので、少しでも嘘臭さが出てしまうと浮いてしまうが、みんながもうすでにそのリアルを体現していたので、僕はそこに入るだけだった。再演組のメンバーに助けられた」と述べた。

上演時間は約2時間45分(休憩あり)。初演以来、変わらず勇気と愛を伝え続けてきた『RENT』。コロナ禍や分断された社会の状況から鑑みても、本作がもつパワーを改めて思い知る。「過去もない、未来もない。今日という日を精一杯生きる(NO DAY BUT TODAY)」という言葉を噛みしめながら、名曲揃いの本作を堪能してほしい。東京公演は4月2日(日)まで。

取材・文:五月女菜穂