2011年に韓国で製作され大ヒットした映画『SUNNY』が、バブル経済絶頂期の1980年代と現代の日本を舞台にしたミュージカルとして舞台化される。そんなミュージカル『SUNNY』に出演することが決まった、日向坂46の元メンバー・渡邉美穂に話を聞いた。
2022年に日向坂46を卒業し、アイドルから俳優へと一歩を踏み出した渡邉。演技の世界に興味を持ったのは映画『ヒミズ』における二階堂ふみの演技に憧れたからだといい、今年に入ってからは音楽劇『逃げろ!〜モーツァルトの台本作者ロレンツォ・ダ・ポンテ〜』に出演している。
本作への出演にあたっては「舞台の経験はあるものの、ミュージカルは完全に初挑戦。どうなるのか楽しみです。一方で他の共演者はミュージカルに慣れていらっしゃる方々ばかり。ついていけるように、必死に頑張りたいと思います」。稽古場では特に花總まりや瀬奈じゅんといった共演する“大先輩”の姿を間近で見たいといい、「見て学べるものは盗めるだけ盗んで、実際に困ったときはいろいろとアドバイスをいただけるように頑張りたい。間違いなく自分にとっていい経験になると思うので」と貪欲な姿勢を見せる。
今回の舞台では、バブル経済絶頂期の1980年代と現代とがシンクロしながら展開する。奈美という女子高生を演じる渡邉は「女子高生たちが青春している感じが楽しく描かれていていいなと思いました。それに同じ時間を共にした仲間たちが、時を経て全く違う道に進むのがすごくリアル......。笑えて、感動できて、泣けて、ほっこりする作品です」と脚本の印象を語る。ちなみに2000年生まれの渡邉は、80年代を実際に体験していない世代だが「女子高生たちも自由奔放に生きているイメージがあって、80年代には憧れがあります。それから音楽もいいですよね。特に小沢健二さんの音楽を聞くようになりました」。
そもそも「SUNNY」というのは、登場人物たちの仲良しグループの名称なのだが、渡邉自身、高校3年生のときに同じクラスだった仲良し6人組がいるという。「友達はそんなに多い方ではないのですが、高校時代はその6人でずっと一緒にいましたし、いまだに定期的に会っています。何でも話せる仲で、本当に居心地がいい」。その仲間との絆が本作での役作りにも活かせるのではと尋ねると「間違いないですね」と笑顔だった。
観客へのメッセージを尋ねると「観る方によっては『懐かしいな』という気持ちになる方もいるでしょうし、私と同じように『こういう時代があったんだな』と新鮮に捉える方もいると思います。でもきっと観ていて楽しい気持ちになるはず。友情や、人との繋がりの大切さを改めて感じることができる内容だと思いますし、『明日からまた頑張ろう!』と前向きになれるようなものにできたら」と語っていた。
取材・文:五月女菜穂