女性の美に革命を起こした二大コスメブランド創始者の争いを描く、ミュージカル『エリザべス・アーデンvs.ヘレナ・ルビンスタイン -WAR PAINT-』。タイトルロールの二人に扮する明日海りおと戸田恵子に、稽古前の心境を尋ねた。
ダグ・ライトの脚本、スコット・フランケルの音楽で、米ブロードウェイにて初演(2017年)された原題『WAR PAINT』。視覚に訴える華やかさを追求したアーデン(明日海)、科学的見地からアプローチするルビンスタイン(戸田)とそれぞれ独自の発想と行動力で自らの化粧品ブランドを世界的地位へ押し上げた二人が、苦悩や困難を乗り越えた先で対面を果たすまでの様子が綴られる。日本初演となる今回は、翻訳・訳詞・演出をG2が手がける。
タイトルに対立関係の「vs.」と付されているものの、終盤までセリフの応酬はないという。ブロードウェイ版を観劇した戸田は「共通のミュージカルナンバーで二人それぞれの心情を歌うことはあっても、基本は個人戦で構成される珍しいミュージカル。二人の掛け合いは最後までお預けだから、稽古場でも明日海さんと顔を合わさないことになるのかな」とこれから始まる稽古に思いを寄せる。すると明日海は「同じ場所にいないからこそ、互いの存在をいちばん近くに感じる気がします」とコメント。戸田も頷き「ライバル心が燃え上がり、業界のトップランナーになっていく二人を意識させる台本でした」と話す。
演じる女性の生き方をどう感じているか尋ねると、明日海は「二人がここまで頑固に意地を張って争っていると、清々しいですよね。日本人はオブラートに包んだ言動が美徳とされるので、なおさらスカッとしました。仕事に情熱を捧げるアーデンとルビンスタインに翻弄されるパートナー(上原理生・吉野圭吾)の反応も楽しくご覧いただけると思います」と見どころを述べる。戸田も「現代の女性が活躍するもっと前から精力的に動いている二人だから、想像以上に大変な目に遭っているんですよね。だからとても意志の強い人間に描かれているけど……そのぶん、家庭やプライベートがうまくいかない。ラストは切ないですよ」と続き、インタビューを結んだ。
公演は、5月7日(日)~17日(水)に東京・日生劇場にて。その後、5月27日(土)~29日(月)に大阪・森ノ宮ピロティホール、6月2日(金)~4日(日)に愛知・御園座、6月8日(木)~13日(火)に京都・京都劇場と巡演する。
取材・文:岡山朋代