撮影:黒豆直樹
スピルバーグ監督の映画作品の脚本家としても知られる劇作家トニー・クシュナーによるピュリッツァー賞受賞作「エンジェルス・イン・アメリカ」がいよいよ開幕。第一部の初日開演前に公開稽古が行われ、その後、岩永達也、鈴木杏、水夏希、山西惇が報道陣を前に意気込みを語った。
1980年代半ばから90年代にかけてのアメリカを舞台に、エイズに罹患した同性愛者の青年や周囲の人々の生きる姿を“天使”などの超常的な存在を交えつつ二部構成計8時間で描き出す。
この日は、エイズに苦しむプライアー(岩永)の病室を元ドラァグクイーンの看護師・ベリーズ(浅野雅博)が訪れるシーン、モルモン教徒であるジョー(坂本慶介)が電話で母親(那須佐代子)に同性愛者であることを告白するシーン、病室ではルイス(長村航希)がプライアーに別れを告げ、ジョーの家ではジョーが妻のハーパー(鈴木)に対し、同性愛者であることを認めるシーンなどが公開された。
そして、最大の見どころとも言えるのが、水夏希が演じる“天使”がプライアーの前に姿を現すシーン。水はワイヤーで吊られた状態で登場し、圧巻の存在感を放っていた。
公開稽古後、報道陣の取材に応じた岩永、鈴木、水、山西。通常よりも長い約2か月半に及ぶ稽古を重ねてきたということもあって、ようやく幕開けを迎えることを楽しみにしているよう。
ゲイであることを隠して辣腕をふるう大物弁護士ロイ・コーンを演じる山西は、フルオーディションによる本作への参加について、アメリカの連続ドラマ版で同じ役をアル・パチーノが演じていることに触れ「日本でやるなら俺しかいないだろうという思いで応募しました(笑)」と語り笑いを誘う。また、岩永はエイズ患者の役ということで年明けからの数か月で約10キロ減量したことを明かした。
天使役の水はこの日も披露したフライングについて「人生で初めてですが、ついに飛ぶ時が来たか! という思いです。宝塚の頃から憧れていました」と明かしつつ「結構、身体にダメージがあります(苦笑)」と苦労も口にしていた。
二部構成で計8時間という長丁場の舞台となるが、岩永は「僕らの世代にこそ見てほしい。歴史や知識など、教科書やSNSでササッと調べて出てくるようなものじゃない“熱量”が詰まっています。この作品に触れるということで、いま、どれだけ人生の見え方が変わるか? 声を大にして言いたいです!」と熱く訴えた。
「エンジェルス・イン・アメリカ」は新国立劇場にて上演中。
取材・文:黒豆直樹







