和楽器をフィーチャーしたロックサウンドに載せて繰り広げられる、切れの良いアクション。アクション、特に剣殺陣の好きな観客にはたまらない、スリリングなステージだ。2045年の東アジアを舞台とする、ポリティカル・アクション・シリーズの第4作。
覇権主義を拡大する東亜共和国連邦(東連)に対抗するため、日本は国家特別防衛隊課(トクボウ)を設立。隊員であるクロウ(スパイ)たちは魔法の石「起源石」を体内に埋め込まれ、“シノビ”の技を身につけて任務を遂行する。
今回のクロウの任務は、東連が作り上げた巨大海洋施設「ポセイドン」に潜入してその全容を解明し、そこで行われている研究を阻止すること。だがクロウのひとり・羅生聖護(日向野祥)が東連に拉致されてしまう。それには、彼の弟・羅生研護(宮里ソル)が関係していた。阿佐美煉(高本学)とそのバディ・乃木杏莉(設楽銀河)、聖護のバディ・蒼田三月(阿部快征)、そして三月に同行した八神優斗(千葉瑞己)は任務を果たし聖護を救出するため、戦いに挑む。
まっすぐな人柄の聖護とやんちゃ系な煉は、良い意味で対照的。穏やかに互いを気づかう聖護と三月に対して、度々にぎやかな掛け合いを見せる煉と杏莉、それぞれのバディ像も面白い。この4人に加え、教官的存在の神楽瑠唯(湯浅雅恭)や司令官・椿泰親(内田裕也)も含めた特防のチーム感がポイントだ。
東連の面々は舞龍(五十嵐啓輔)やシヴァ(鵜飼主水)、ガネーシャ(白又敦)と、中華圏あるいはインド系、アレク(石渡真修)ら東連に対するレジスタンス組織のメンバーはロシア系をそれぞれ連想させる名前で、この物語の汎アジア的な世界観を強調している。
冒頭で映像による説明もあるため、今回初めて作品にふれる観客もそう理解しづらくはない。映像演出や客席通路の使用なども含めてテンポも良く、男たちの熱い戦いに圧倒されつつ楽しめるはずだ。
彼らを動かしているのは、敵方は国に対する思いや野望。それに対してクロウたちは、聖護と研護、聖護と三月、煉と杏莉など、兄弟やバディとの絆ゆえであることが印象に残った。また、煉・杏莉とアレクとの間に友情が生まれたことや、大迫由紀夫(村上幸平)と福丸環(杉江優篤)の行動など、今後の展開が楽しみになる要素もたくさん。それはシリーズとして続けていくからこそ描ける面白さだろう。
パワーあふれるこのステージは、シアター1010にて5月13日(土)まで。
取材・文:金井まゆみ







