子どものいない女性たちが、声を発するようになった「子なし元年」は2016年――。たしかに、と思いませんか。
思い返してみてください。同年3月、『FRaU』のインタビューで女優の山口智子さんが、子どもを持たない人生を選択したと語ったのを皮切りに、子どもを持たずに生きる女性たちが、さまざまなメディアで自らの言葉で発信するようになりましたよね。
2016年を子なし元年と名付けたのは、『誰も教えてくれなかった 子どものいない人生の歩き方』(主婦の友社)著者・くどうみやこさん。子どもを望む気持ちをうっすらと持ちながらも、40代前半で子宮頸がんを宣告され、手術で子宮を全摘し、たどり着いた先は「子どものいない人生」。
そんなくどうさんが、同じく子どものいない人生を独身・既婚関係なく歩んでいる女性たちの声を集めたのが本書です。
産まない、産めない……子どものいない人生に至るプロセスはみんな違う
子どものいない人生と一口に言っても、事情はさまざまです。もともと子どもを持とうと思っていなかった、子どもがほしくて不妊治療などに取り組んだものの授かることができなかった、タイミングに恵まれなかったetc.いろいろあります。
一度結婚・離婚経験がある私自身も、「もともと子どもを持とうと思っていなかった」パターンで、今のところは子どものいない人生を送っています。周りにも同じく子どものいない人生を送る知り合いはちらほらいます。たとえば、「持病があるために、子育てできるか自信がないから、夫と話し合った結果、子どもを持たないことにした」という人も。
本書では、夫側に不妊の原因があって子どもを授かれなかった、年下男性と結婚して妊娠に焦ったもののうまくいかなかった、不仲な両親を見て育ったため結婚も出産も興味が持てなかった、キャリアを優先し仕事一筋で頑張ってきたら出産可能性のある年齢を過ぎていたなど、13人13通りの子どものいない人生が事例として掲載されています。
子どもがいてもいなくても、人生に幸せなことはたくさんある
彼女たちの人生には、子どものいない人生に足を踏み入れたことへ、悲しみや迷い、葛藤を抱えていた時期もあったようです。
「子どものいる人生=スタンダード」というふうに、その生き方が未だに固定概念として残っているため、それも無理はないと思います。すぐに気を取り直したり、ネガティブに考えたりするのをやめて、前を向けるようになる人もいれば、しばらく傷ついたまま過ごす時期が続いた人もいました。
ただ、本書に登場した13人と著者のくどうみやこさんに共通するのは、現状を「これが自分の人生なんだなぁ」とひとまず受け入れたこと。そこに否定的な感情はありません。自分の生き様を一番近くで肯定してあげられるのは、自分しかいないんだなと思わされます。
「人生には子どもを持つ以外の幸せもたくさんある」と認識することも、全員に共通して見られたことでした。子どもを持たない身軽さを武器に、仕事や社会貢献など外とつながる活動に人生の多くの時間を使ったり、大好きな趣味に時間的コスト・金銭的コストを割いて存分に楽しんだり……と自分の人生をフルで謳歌する。
子どものいない人生は見方を変えると、自分の人生を自由に生き切る、ということでもあるんだなと考えさせられました。第5章で紹介されている「子どもがいない女性が人生を好転させる9つのヒント」も参考になると思います。