ファッション界の革命児にしてレジェンド、ジャンポール・ゴルチエの半生を描くランウェイ・ミュージカル『ファッション・フリーク・ショー』が開幕。2018年にパリで初演、約25万人を動員した話題作の初日直前に、作・演出・衣裳を手がけたジャンポール・ゴルチエが来日、報道陣にいまの思いを明かした。
開口一番、「日本でこの公演を実現することは長い間の夢でした」と朗らかな笑顔のゴルチエ。2020年春夏オートクチュールコレクションをもってファッション界から電撃引退、世界に衝撃をもたらした彼だが、「引退後も引き続き何かやりたいと考えていた。それが、エンターテインメントのショーなんです」という。
舞台に登場するのは、実際にパリコレを飾った200着を超えるオートクチュール。毎シーズン、その自由でアヴァンギャルドな世界を展開してきた彼の世界が、再び舞台に立ち上がるというのだから刺激的だ。
「ストーリーは、幼少期、自分のぬいぐるみのくまにどんな衣装が似合うかなと絵を描いていた頃から、ピエール・カルダンで修業し、デザイナーとして独り立ちして──という私の50年のキャリアです。このショーで、ファッションには驚きがあるということを伝えたい」
ちなみにゴルチエ少年のくまのぬいぐるみは、あの先端が尖った彼独特のブラジャー“コーンブラ”を最初に着用した張本人。「段ボールをぐるぐる巻いて作ったんです。ぬいぐるみは今も靴箱に大事に保存してある。アイシャドウやチークを入れたりしていたから、状態は良くないけれど(笑)。今回のショーに、その姿が写真で登場します!」
ステージを彩る、ナイル・ロジャースの1978年のヒット曲「Le Freak」はじめ、70年代後半から80年代のディスコシーンを彩った名曲も、自ら選曲したという。エイズで他界したパートナー、フランシス・メヌージュとの出会いも描かれるが、「とてもロマンティックで、うまく表現できていると思う。モデルたちを集めて、様々なポージングをしてもらう場面も面白いでしょう。これは日本公演で初めて披露するシーンなんですよ!」と熱い語り口でアピールした。
東京公演は5月19日(金)〜6月4日(日) 東急シアターオーブ、大阪公演は6月7日(水)〜11日(日)、フェスティバルホールにて。江口拓也、城田優、七海ひろき、美弥るりからが日替わりで特別出演する回も設けられる。チケットは発売中。
文:加藤智子