演出家で映画監督としても名高い堤幸彦がプロデュースするガールズユニット「上野パンダ島ビキニーズ」らが出演する舞台『マイナス2.5』が3月15日、東京・品川プリンスホテル クラブeXで開幕した。
メンバーは、暁島朱里(西川美咲)、紫岡スミレ(矢萩春菜)、柿次橙子(小瀬田麻由)、雛菊りん(水原ゆき)、蒼井雫久(石原千尋)、桃山つき乃(松岡里英)、金平もえぎ(小田切瑠衣)の7人。昨年3月に行われた公演を皮切りとして、漫画化やCDデビューなどコツコツと活動を続けてきたビキニーズだが、とあるメンバーの突然の“解散”宣言をきっかけに、溜め込んでいた日頃の不満が爆発するところから舞台は始まる。
「30才を過ぎたのにアイドル」「歌が下手なのにアイドル」……。タイトルの『マイナス2.5』は、2.5次元アイドルになれてないという自虐的な意味を込めている。さらにAKB48 Team8太田奈緒を中心としたライバルユニットの出現で、果たしてビキニーズは存続できるのか!? 虚構と現実が上手く混じり合うストーリー展開だ。
初演時に引き続き、堤自ら演出、劇団□字ック(ロジック)主宰の山田佳奈が脚本を担当。いま注目されている政治関連の時事ネタや、昭和生まれの心をくすぐる一発ギャグが散りばめられ、全体的にコメディー劇として楽しめる。
ビキニでのダンスと歌披露、セクシー生着替え、コスプレなど、アイドルとしての“定番”もきちんと要素として取り入れながら、セリフの端々でアイドルであることの葛藤や不安、覚悟、揺らぎ、努力といった内面も描いている。単なるビキニ姿のアイドルショーとは訳が違うのでご注意を。
アイドルとはどうあるべきか、なぜアイドルとして活動しているのか、これからどう向き合っていくのか。舞台を通じて観客も考えさせられるが、出演者自らもきっと十分すぎるほどに考えてきただろう。彼女たちそれぞれが辿り着いた答えをぜひ劇場でご覧いただきたい。
ビキニーズとAKB48太田のほか、しらほしなつみ、真城まゆ(YOANI1年C組)、知念紗耶、中島由貴、minan(lyrical school)、小野寺ずる、野添義弘といった個性豊かなメンバーが出演。上演時間は1時間55分(休憩なし)。公演は3月18日(日)まで。
取材・文:五月女菜穂