真田幸村に仕えたとされる「真田十勇士」は、映像や舞台でもおなじみ。真田家家臣や忍者である彼らだけに、殺陣をふんだんに盛り込んだ活劇として描かれることが多いのではないだろうか。四大海の作・演出で2005年に劇団S.W.A.T!が上演した『SANADA XI』もそのひとつ。パワフルな“サナダ・イレブン”の物語が、今回TWTの公演として蘇った。6月9日(金)の初日に先立って行われたゲネプロの模様をお伝えしよう。
徳川家康に抗い、豊臣秀頼を守るため大阪城に入った真田幸村。幸村と十勇士(=サナダ・イレブン)は史実で有名な赤備えになぞらえ、赤と黒で統一された衣裳が印象的。しかも現代的にトレンチコートや革ジャン、パーカーなどを着こなしていて、その背面に真田の旗印として知られる「六文銭」があしらわれているのがインパクト抜群。ボン・ジョヴィの楽曲と相まって、ロック色が強い。
物語の中心は、真田幸村(荒井敦史)と霧隠才蔵(佐藤佑哉)。才蔵や筧十蔵(直江幹太)、真田大助(西川俊介)ら個々人の掘り下げも含め、クライマックスに至るまではかなりコント要素も強い。徳川方の服部半蔵(丸山敦史)など、かなりクセの強いキャラクター付けも見られる。
しかし一番の見どころは、やはり所々で繰り広げられる立ち回り。客席通路も駆使してサナダ・イレブンが馬で疾走し、時には11人がずらりと並ぶ迫力は特筆ものだ。史実のうえでの必然であり十勇士の物語上はずせないものとはわかっていても、彼らの散りゆくさまには胸が痛む。
また総じて切れのよい動きが観ていて気持ちいいが、やはり経験がものをいう部分でもあり、そこはベテランである三好清海入道(横山一敏)・三好伊佐入道(金井迪大)兄弟が存分に見せる。また身長・体格のバランスの良さが動きに活きておりトレンチコートの裾がひるがえる様も見栄え抜群な幸村(荒井)、躍動するエネルギーが客席に伝わってくる才蔵(佐藤)らも観る者を魅了する。クライマックスには甲賀の忍・楓(水原ゆき)も交えた幸村の連続斬り(何人斬るかはぜひ劇場でお楽しみいただきたい)もあり、“パフォーマンスユニット”という看板に偽りなし、と言えそうだ。
吉祥寺シアターでの赤の軍団の戦いは、18日(日)まで。
取材・文:金井まゆみ