福士蒼汰が、Huluオリジナル「THE HEAD」Season2で海外ドラマ初出演を果たす。Season1は、南極の科学研究基地で起こった惨殺事件の真相に迫る極限の心理サバイバル・スリラーが多くの視聴者から称賛され、人気を博した本シリーズ。山下智久が同作で世界デビューを果たしたことも大きな話題となったので、記憶している読者もいるのではないだろうか。
そして、17日からHuluで独占配信がスタートするSeason2では、海外ドラマ初出演の福士が、優秀なエンジニアのユウトとして登場し、存在感を示す。今回は、福士の俳優としての歩みを振り返りながら、彼の魅力に迫りたい。
事務所のスカウトで芸能界に入った福士は、2011年放送のドラマ「美咲ナンバーワン!!」で俳優デビュー。同年9月から放送された「仮面ライダーフォーゼ」で主人公・如月弦太朗を演じて注目された。
ブレークのきっかけとなったのは、13年に放送された、NHK連続テレビ小説「あまちゃん」だ。福士はのんが演じた主人公・天野アキの初恋相手・種市浩一を演じて大きな話題に。“種市先輩”と呼ばれ、広く知られるようになった。その年の「2013年上半期ブレーク俳優ランキング」(オリコン調べ)では1位を獲得している。
当時の福士のイメージといえば、爽やかで優しくて、ちょっと“駄目な男”が似合う俳優だろう。ドラマ「きょうは会社休みます。」(14)、映画『好きっていいなよ。』(14)『ストロボ・エッジ』(15)など、少女漫画原作の作品でヒーロー役を演じることも多く、抜群のスタイルと甘い笑顔で多くの女性をキュンとさせた。
15年には映画『好きっていいなよ。』『神さまの言うとおり』『イン・ザ・ヒーロー』の3作品で第38回日本アカデミー賞新人俳優賞も受賞し、演技力にも磨きをかけていく。
その後、映画『BLEACH』(18)ではワイヤーを使ったハードなアクションにも挑戦。中学時代はバスケットボール部に所属していたという抜群の運動神経を生かした見事な殺陣を見せ、第7回ジャパンアクションアワード ベストアクション男優優秀賞も受賞している。
以降は、福士はアクションもできる俳優としても存在感を発揮する。映画『曇天に笑う』(18)『ザ・ファブル』(19)などでアクションを披露したほか、ド派手な殺陣が繰り広げられることでも知られる劇団☆新感線の舞台「劇団☆新感線『髑髏城の七人』Season月」では主役を務め、見事な立ち回りを見せた。
さらに近年では、ダークヒーローや気弱な警察官など、さまざまな役柄に挑み、幅を広げている。17年放送のドラマ「愛してたって、秘密はある。」では秘密を抱えた恋人役を演じ、その豹変(ひょうへん)ぶりで視聴者を引きつけた。常に穏やかな空気をまとっている福士だからこそ、狂った役を演じたときは人一倍、すごみがあった。
23年放送の「大奥『3代・徳川家光×万里小路有功編』」では、堀田真由が演じた家光との関係を繊細に演じ、大きな話題に。「すごい役者」「究極の演技」など、SNSでも称賛の声が上がっていた。こうしてみると、福士は俳優として常に挑戦を続けている姿を私たちに見せてくれている。だからこそ、その姿は輝きを持ち、私たちを引きつけるのだ。
そんな福士にとって新たな挑戦ともなったのが、英語での芝居を必要とする「THE HEAD」Season2だろう。世界90カ国で放送・配信され、大成功を収めたSeason1の配信から3年、待望のSeason2では、新たな隔絶された場所、太平洋のど真ん中を航海する“ある科学ミッションを担った巨大貨物船”が舞台となる。
気候の変動から全人類を救い、世界を変えるという崇高な目的のもとに集まった天才生物学者たちが研究に励む中、共同研究員の一人が首のない死体として見つかった。Season1で明らかになった衝撃の真実、そして天才生物学者・アーサー(ジョン・リンチ)と医師・マギー(キャサリン・オドネリー)の因縁は、このSeason2でも物語の中心となっている。
極限状態の中、立て続けに予想外の事件が起こり、追い詰められていく研究員と船の乗組員たち。誰もが疑心暗鬼になっていく中、徐々にそれぞれの欲望や野心も浮かび上がってくる。
本作で福士が演じるのは、船内の研究員たちをサポートするエンジニア。第1話から登場し、聡明(そうめい)さを感じさせるたたずまいを見せる。さらに、唯一外部と通信する手段を持つ彼は物語のキーとなるアーサーからの頼みで、SNS上で謎の人物の居場所を追跡する。
Season1同様、第1話から次々に殺人事件が起こり、船内が混沌(こんとん)を極めていく中、はたして、福士が演じるユウトがメッセージをやりとりした人物は誰なのか…。先が読めないストーリーが続く。
福士にとって「念願の海外作品」だったという本作。出演が決まったときは「『これは真実なのか!?』と思うほどびっくりしました。と同時に、非常にうれしかったです」と心境を語っている。
全編英語となる本作では、福士も流ちょうな英語を披露しているが、実は「これまでも英語のアクティング・レッスンや、海外作品のオーディションを受けていた」と明かす。英語での演技はこれまでになく新鮮で、新たな福士の姿も見どころの一つだろう。
物語の冒頭からそれぞれの登場人物の過去も少しずつ明かされていくものの、第1話ではユウトの詳細はまだ不明。彼がどんな思いを持って船に乗り込んだのか、そして事件にどのような形で関わるのか。今後の展開にも期待が高まる。
(嶋田真己)