青空の下、無数の尖塔が立ち並ぶ。そんなサグラダ・ファミリアの姿は、まさにバルセロナを象徴する風景だろう。アントニ・ガウディが手がけたこの聖堂は1882年に着工して以来ずっと建設が続いていたが、ガウディ没後100年の2026年、ついに完成するのだ(予定)。それに先立ち、『ガウディとサグラダ・ファミリア展』では膨大な図面や模型、写真などの資料を通して、ガウディの制作過程と彼の建築の魅力にふれることができる。そして、音声ガイドのナビゲーターを務めるのは城田優。幼い頃にバルセロナで暮らし「サグラダ・ファミリアは日常の風景だった」彼だからこその、温もりあふれる声に導かれて展示物と向き合う時間は、きっと極上のひと時となるに違いない。
城田はこの展覧会を、「サグラダ・ファミリアの豆知識は結構知っているつもりでしたけど、僕も初めて知ることがたくさんありました。内観、外観、設計上、いろいろな秘密が紹介されているので、『これ、どうなってるの?』と興味を持ってくださったら、サグラダ・ファミリアをめぐる謎や諸説といった神秘的な部分も含めて楽しんでいただけると思います」と語る。
また音声ガイドの収録は「聞きながら歩いている人たちのことを想像してしゃべる」ようにしたという。「耳から入ってくる情報ってとても大事ですよね。だから声のトーンも普段の自分とは少し変えて、少しフォーマルっぽいというか『聞いてください』っていうスイッチを入れて臨場感や想像力を駆り立てるように、でも主張しすぎないように。そのバランスが難しいんですけれど」
ちなみに今回展示される資料の中で城田自身が気になった物は、東洋人の顔をした天使の像だという。主任彫刻家・外尾悦郎氏の手によるそれが、「『東洋人の顔つきの天使がいたっていいじゃない』っていう発想が、人種を超えていく感じがして面白い」と感じたそうだ。「普段あまり美術館や博物館に足を運ばない、行ったことないという方も騙されたと思って1回行ってみてほしい。サグラダ・ファミリアという素晴らしい建物の歴史や奥ゆかしさをぜひ一度経験してみてもらえたら、きっと視野が広がると思います」
ガウディの魅力にふれられるこの展覧会は、6月13日(火)から。その後、滋賀・愛知で開催。
取材・文:金井まゆみ