歌舞伎俳優の坂東玉三郎が贈る『坂東玉三郎 PRESENTS PREMIUM SHOW』。9月2日(土)~10日(日)は「口上と衣裳解説」、12日(火)~24日(日)は「スペシャルコンサート」という構成で、会場は座席数100席の円形ホール「BAROOM」だ。文字通りプレミアムな公演となるその内容を玉三郎に聞いた。

「口上と衣裳解説」は、玉三郎所有の豪華な衣裳を本人がまとい、解説しながら進むステージ。きっかけは、やはりコロナ禍だったという。
「舞台が出来ないときでもお客様に楽しんでいただくにはと考えて、一昨年、大阪の舞踊公演から衣裳を見ていただくことを始めました。それで今回は実際にBAROOMで着て皆さまにお見せしてみてはどうかなぁ…ということに。普段は客席から見る衣裳を近くで見ていただくのも楽しいと思いますし、パリコレのランウェイとまではいかないですが、(臨場感を)楽しんでいただければ」と微笑む玉三郎。
衣裳は5点の予定だが、「その日によって変えることも」考えているとのこと。「解説も多少の即興性が出るかと思います」というから楽しみだ。

また「スペシャルコンサート」では、ピアノとキーボードの生演奏と共に90分で18、9曲を歌う予定。
「この空間でどんな歌をお届けできるかと選曲中です。それから今回歌うかは未定なのですが……。淡谷のり子さんが歌って、合間に杉村春子さんが淡谷さんの人生を朗読するレコード(『歌手 淡谷のり子~歌に託した半世紀~』)が本当に素晴らしくて大好きなので、そんな“歌と語り”のようなものを今後もやらせていただけたらと思っています。淡谷さんはご自身の人生を歌っていらっしゃいますが、私が歌うなら“こういう物語がありました”という語り部のようになるかと思います」と玉三郎は話す。

客席数100での公演は、以前出演した舞台『ナスターシャ』(1989年、アンジェイ・ワイダ演出)の会場、ベニサン・ピット(閉館)を思い出すという。
「客席と近いのは緊張もしますが、お客様と非常に密接な空間での公演だった記憶があります。近頃、そんな空間で楽しんでいただけるものを…と考えていたところでしたので、今回の公演は今まで考えていた事とのご縁を感じていますね。今後も続けていけたらいいですし、歌舞伎やそれ以外の公演でも演出をしたり、若い人に知っていることを伝えたりするのが自分のこれから生きていく道かなと。体力的に叶うところでのお仕事というのをじっくりさせていただければと思っています」

取材・文:藤野さくら