お金の「そうなんだ!」「本当?」といったいろんなヒントをファイナンシャル・プランナーの筆者が紹介します。

今回は電車内広告やテレビCMでもよく目にした「毎月5万円で1億円」のお話です。この業者は6カ月の業務停止命令を受けていますが、何がマズかったのでしょうか。予め見分ける方法は?

 

みんな目にした「毎月5万円で1億円」が営業停止処分に

「毎月5万円で1億円」という広告を見かけた人は多いと思います。首都圏の電車にはたくさん広告が貼られていましたし、テレビCMも出されていました。

雑誌にもかなり多く記事広告が掲載されていたようですし、SNSをやっていたときにネットのバナー広告でみかけた人も多いことでしょう。若手俳優を起用した、なかなか目立つ広告だったと思います。

この会社の広告によれば、国の年金があてにならない世代は、自分で毎月5万円のペースで積み立てていかないと、老後に必要な1億円は貯まらない、と強調されており、そのために外国の運用が上手い金融商品を紹介します、とうたわれていました。

しかし、「最近Facebookで広告みかけないな」と思っていませんでしたか?

実はこの会社、現在営業停止中なのです。「紹介」ではなく実質的に「販売」業者であったこと(個人から助言料をもらうと同時に金融商品の業者からもキックバックをもらっていた。この場合、無認可で金融商品は販売したことになり違法である)、実際に提供していない金融商品を広告に載せたり、キックバックがないと表記するなど広告に不当表示があったことなどがその理由です。

処分は6カ月の営業停止となっており、これはきわめて重く、違反の内容が大問題であったことを意味します。

あれだけCMを出していたのに、問題アリ、とされたわけですがそもそも何がまずかったのでしょうか。

 

「毎月5万円で1億円」は正しい?

このCMを見た普通の人が最初に感じるのは「毎月5万円で1億円なんてウソでしょう?」だと思います。しかし、実はこれはウソというわけではありません。

仮に22歳の新入社員が毎月5万円を定年退職まで積み立てるとします。60歳まで38年ありますから、仮に利息ゼロでも2280万円が貯まる計算です。運用の利益が税金や手数料を引いて年7%も入れば、この2280万円は1億1300万円に成長します。これは運用の理論では複利効果といわれるもので、「計算上」はウソではないのです。