国際交流基金アジアセンターと株式会社パルコが2014年に立ち上げた「ダンス・ダンス・アジア ~クロッシング・ザ・ムーヴメンツ~」。3月23日の東京公演開始に先立ち、3月15日にはダンス関係者へ向けた公開リハーサルが行われた。
集まったのはフィリピン、インドネシア、シンガポール、マレーシア、タイ、ベトナム、そして日本のダンサーたち。シアターで展開される彼らのダンスは、そのテクニックはストリートダンスをベースとしながらも、コンテンポラリーや演劇など他のアート分野と驚くべき幸せな邂逅を経て、新たな地平を切り開いている。まさに世界のムーブメントの“今”を感じられるステージとなっている。
ラコステ、ディーゼルなどのショーやMV、CMなどの振付を多数手がけるヴィンス・メンドーザの作品は『Hilatas<君を導く光>』。2016年の東京初演以降、海外公演を経て、同名作品を長編化。今回は振付・演出補佐、ドラマトゥルクとしてピナ・バウシュ ヴッパタール舞踊団出身のファビアン・プリオヴィルが参加。リハーサルでは、印象的なリズムラインに導かれ、コンテンポラリー・アート作品としてのヒップホップの可能性を予感させるダンスが展開されていた。
ユニクロのTVCMで、世界三大広告賞を含めた23タイトル受賞という快挙を成し遂げた気鋭のクリエイター黄帝心仙人の作品は『宇宙 -Space-』。舞台に設置された透明なドーム型の“宇宙船”の中で繰り広げられる船員達のドラマだ。音楽とダンスの驚くべき雄弁さによって、まるで台詞が聞こえてくるようだ。ストリートダンスのテクニックによって表現されながら、まさに演劇としてのパフォーマンスとなっている。
インドネシアのダンス・アイコンとして名高いハムディ・ファバスの作品名は『Soul Train』。ストリートダンスの変遷を辿るショーケース的な構成は、さながらダンス番組『ソウル・トレイン』の“いいとこ取り”。多用されるダイナミックなブレイキングは、まるで舞台を彩る華のように咲き乱れる。ハムディ・ファバスによるストリートダンスの“今”の表現にも注目だ。
公演は3月23日(金)から25日(日)の3日間、東京芸術劇場 シアターイーストにて合計4回開催される。各回、3作品全てが上演される。24日(土)、25日(日)の公演終了後には演出家・クリエイターによるアフタートークが決定しており、各回登壇する演出家は異なる。
取材・文:yokano