秋月家の姫君と軍資金を守り、侍大将・真壁六郎太は百姓ふたりを巻き込んで決死の敵中突破を図る。黒澤明監督・三船敏郎主演の傑作映画『隠し砦の三悪人』(1958年)が、横内謙介が上演台本・演出、上川隆也が主演の舞台として生まれ変わる。ヒロインである雪姫を演じるのは、櫻坂46の小林由依。出演が決まった時は「『隠し砦の三悪人』が歴史的な作品っていうことは知っていたし、ご一緒させていただくキャストの皆さんも今までテレビで見ていたすごい方ばかり。私がこの中に入っていいのか、不安が大きかった」と率直な思いを口にする。
出演が決まってすぐ、映画『隠し砦の三悪人』を見たという小林。雪姫は「『気性が激しい』って言われるけど、彼女の言うことは核心を突いているんですよね。涙は見せないとか一国の姫としての責任感があって、でも感じたことをすぐに話してしまうようなところもある、憎めない人」だと思ったそう。演出の横内からも「登場したら一気に皆の視線を集めてしまうようなオーラ、存在感を出していけたらいいよね」と言われたという。小林らしく、どんな雪姫像を表現するのか期待したい。
上川隆也、風間俊介、六角精児など、演技巧者に囲まれるなか、特に風間が演じる又七と六角が演じる太平のかけ合いが気になっているそう。「だって映画でのふたりを風間さんと六角さんに置き換えて想像すると、絶対に面白いじゃないですか」と期待を寄せる。
上川についても「出演されているドラマはよく拝見していて、堂々とした正義感のある役柄のイメージがあります。パーソナルな部分は知らないので、お稽古を通して知っていけたら」としつつ、自分は人見知りだから共演者と打ち解けるには時間がかかりそう、と照れ笑いを浮かべた。
「アクションの多い舞台になると思いますし、緊迫した感じはその空間に居て生で観るからこそ味わえること。それを楽しんで、私たちと一緒にいる感覚を感じてほしい」と語った。「演出の横内さんも映画で描かれている部分は忠実にやりたいという意向だそうなので、そこは映画を観ている方にも楽しんでいただけると思いますし、それに加えて映画で描ききれなかったパーソナルな部分を舞台では生で感じていただけたらいいなと思います」
六郎太や雪姫たちのスリリングな決死行は、7月28日(金)より明治座にて。その後、大阪公演あり。
取材・文:金井まゆみ







