抜き稽古より 撮影:阿部章仁

昨年のトライアウト公演で大好評を博した『シュレック・ザ・ミュージカル』が満を持してのフルバージョン公演となり、日本青年館ホールで7月8日(土)に開幕した。大人も子供も一緒に笑える、ハッピーにあふれた初日舞台の様子をレポートする。

物語の主人公は恐ろしい外見で嫌われ者の怪物シュレック(spi)。人里離れた森の沼のほとりでひとり静かに暮らしていたある日、領主・ファークアード卿(泉見洋平)によって国を追放されたおとぎ話の住人たちが森に押し寄せてきた。静かな生活を奪われたシュレックは追放令を取り消してほしいと訴えるが、プリンセスとの結婚を目論むファークアード卿は交換条件として「自分の代わりに囚われのフィオナ姫(福田えり)を救い出せ」と命じる。仕方なくシュレックは沼を取り戻すため、お調子者のおしゃべりなロバ・ドンキー(吉田純也)を道連れに冒険の旅に出る――。

本作は2001年にドリームワークスが手掛けた大ヒットアドベンチャーコメディ映画『シュレック』のブロードウェイミュージカル版。2022年8月に日本初上陸したトライアウト公演では90分の短縮バージョンだったが、今回は2時間30分(休憩20分を含む)のフルバージョンとなり、よりパワーアップした舞台が楽しめる。
メインキャストは昨年オーディションで選ばれた実力派俳優たちが続投し、コミカルなセリフを絶妙な間合いでテンポよく繰り出していく。ハイテンションな笑いを誘いながらも、オーケストラの生演奏にのせた伸びやかな歌声は抜群の安定感がある。

最初は相容れないシュレックとフィオナ姫がオナラ合戦で意気投合するなど、子供たちが大ウケするネタも盛りだくさんだが、その裏には「ありのままの自分を受け入れてほしい」という普遍的なメッセージが込められる。
“真実の愛”に辿り着くために、シュレックとフィオナ姫が「本当の自分」と「理想の自分」の間で思い悩む姿は切ないが、個性あふれるキャラクターたちがパワフルに奮闘しながら成長していく姿はカラッと明るく、悩みを笑いで吹き飛ばす豪快さが気持ちいい。
カーテンコールは携帯電話での写真のみ撮影がOK(動画不可)。キャストと観客が一体となって盛り上がれるパフォーマンスがあるので、ぜひ最後まで楽しんでほしい。

公演は7月8日(土)から16日(日)、7月22日(土)から30日(日)まで日本青年館ホールにて。

取材・文:北島あや