豊昇龍は新大関の重圧に跳ね返すことができるのか。大栄翔、若元春との三関脇による大関取りが話題となった『大相撲 七月場所』で終盤まで優勝争いに踏みとどまった豊昇龍。千秋楽、賜杯の行方は豊昇龍、平幕の北勝富士、新入幕の伯桜鵬に絞られた。先に北勝富士が3敗を守ると、豊昇龍が伯桜鵬を力強い上手投げで土をつけて優勝決定戦へ進出。優勝決定戦でも豊昇龍の気迫に北勝富士がたまらず引くと、一気に土俵の外へ。本割では黒星を喫した豊昇龍が借りを返すとともに初優勝と大関取りを手繰り寄せたのだった。
7月26日に行われた大関昇進伝達で「大関の名を汚さぬよう気魄一閃(きはくいっせん)の精神で努力いたします」と口上を述べた豊昇龍は、これまで多くの先人たちが飲み込まれてきた大関の重圧とも戦うことになる。『七月場所』を新大関として臨んだ霧馬山改め霧島は初日から休場。4日目から意地の途中出場を果たすも、ケガによる稽古不足は否めず6勝7敗2休に終わった。
『令和四年 三月場所』では御嶽海が11勝4敗、『令和二年 七月場所』では朝乃山が12勝3敗、2度目の大関昇進となった『令和三年 五月場所』で照ノ富士が12勝3敗と新大関にふさわしい活躍を見せた一方、『平成三十年 七月場所』の栃ノ心も、『令和元年 五月場所』の貴景勝も、『令和二年 十一月場所』の正代も途中休場を余儀なくされた。大関には三役とは異なる重圧が襲ってくるのだ。
しかもライバルたちは多士済々だ。新大関として15日間を全うできなかった霧島も期するものがあるだろう。『七月場所』で9勝6敗に終わった大栄翔、若元春の関脇ふたりも来場所へ思いを強くしているはずだ。自己最多の12勝を挙げた北勝富士に横綱と三関脇を総なめにした錦木、三役で11勝をマークした琴ノ若、新入幕ながら優勝争いを演じる大活躍を見せた伯桜鵬、4日間の休場がありつつ、12日目から再出場し、4連勝で締めて勝ち越しを遂げた朝乃山などなど、新大関を脅かす力士がズラリ。新入幕で勝ち星をふたけたに乗せた豪ノ山と湘南乃海も楽しみな存在である。さらに椎間板ヘルニアのため4日目より休場となった横綱照ノ富士と、両膝のケガで全休し、『九月場所』に勝負を掛ける大関貴景勝も控える。
果たして、『九月場所』でも豊昇龍が主役を張るのか。それとも11場所連続で優勝力士が変わる混戦模様がまだまだ続くのか。『九月場所』は9月10日(日)~24日(日)・両国国技館にて開催。チケットは8月5日(土)一般発売。