2019年11月、小倉城天守閣再建60周年と博多座20周年の特別企画として九州初上陸を果たした『平成中村座』。小倉の街を熱狂の渦に包み込んだ舞台が、4年ぶりに再び北九州・小倉へ。その見どころと公演への思いを中村勘九郎に聞いた。

「前回の公演では、観劇のお客様に加え、劇場の外からでも中村座を見に来てくださるお客様など多くの方にお集まり頂き、“祭りのなかで行なわれる芝居”という芝居の原点のような体験をさせて頂きました。この11月も、小倉の街で皆様と楽しく1ヵ月を過ごしたいですね」と勘九郎が笑顔で挨拶。再演が決まり、弟の七之助と「より面白いものを作らねば」との思いを強くしたと語る。

今回の公演では、前回も好評を博したご当地を舞台にした通し狂言『小笠原騒動』の再演が夜の部で行なわれるほか、昼の部では『義経千本桜』より、北九州にほど近い壇ノ浦の伝説を元にした『渡海屋』『大物浦』、そして舞踊『風流小倉俄廓彩』が上演される。

勘九郎は『渡海屋』『大物浦』で銀平・知盛を演じるが「襲名の時に博多座でやらせて頂いて以来、12年ぶりで。(片岡)仁左衛門のおじさまから習ったとても大事な役であり、憧れのヒーローをゆかりのある地で演じられるのが嬉しい」と意気込む。また豊前小倉藩で起きたお家騒動をベースにした『小笠原騒動』は前回大好評を博し、再演を望む声が多数寄せられた。勘九郎自身「(中村)芝翫のおじを拝見してあまりにも面白くて、チケットを取って観たくらい大好きな演目」と語り、芝翫の息子たち(橋之助、福之助、歌之助)への“継承”を念頭に「私たち(勘九郎&七之助)は悪人(犬神兵部&お大の方)で、彼らをビシバシいじめていきたいと思います(笑)」と笑いを誘った。

平成中村座のコンセプトは、まるで江戸の芝居小屋にタイムトリップしたかのような「時空を超えたエンタテインメント空間」。クライマックスで舞台の後ろを開け、小倉城を借景にするダイナミックな舞台演出に加え、芝居小屋の周囲に立ち並ぶ長屋も話題となった。今回は、【市制60周年】を迎える北九州市の全面バックアップのもと、長屋の数も前回の20軒から30軒へとスケールアップ。また、ディズニー好きだった勘三郎にあやかり、隠れミッキーならぬ『隠れ勘三郎』など劇場そのものも遊び心満載。「平成中村座は、外の部分もテーマパークのように楽しんでいただけるよう、趣向を凝らしています」と演目以外もアピールした。

公演は11月1日(水)~26日(日)。チケットは9月7日(木)11時まで先行抽選プレリザーブ受付中。9月16日(土)10時より一般発売開始。