撮影:内池秀人

9月16日(土)、赤澤遼太郎、小南光司のW主演によるミュージカル「コードギアス 反逆のルルーシュ 正道に准ずる騎士」が京都劇場で幕を開けた。

原作は、2006年から放送された同名タイトルのテレビアニメ。皇歴2010年、神聖ブリタニア帝国に支配され、自由と権利、そして名前を奪われた日本。「エリア11」と名付けられた敗戦国に生きる二人の少年、スザクとルルーシュの成長と友情を軸に、ブリタニア帝国と武装組織の黒の騎士団や旧政府軍が対立する7年後の世界を描いている。

赤澤遼太郎は、まっすぐな視線でルールこそ正義と信じる枢木スザクを熱演。言葉にならない感情も眼力で強く訴えた。ゼロと名を偽り、黒の騎士団を束ねて暗躍するルルーシュ・ランペルージを演じるのは小南光司。時間が経つごとにダークな雰囲気を増幅させ、漆黒の闇を体に宿した。ルルーシュに絶対遵守の能力「ギアス」を授ける少女C.C.は小山璃奈が演じる。アンドロイドのような完璧な佇まいで、不老不死という謎めいたC.C.を見事に体現した。コーネリア・リ・ブリタニア役の齋藤千尋は堂々たる存在感でブリタニア帝国を統治。そんな彼女とは正反対の妹ユーフェミア・リ・ブリタニアは木下綾菜が演じ、スザクのみならず作品全体に癒しを与え、緊張感がみなぎる会場を和ませた。旧日本軍中佐の藤堂鏡志朗役の砂川脩弥は、ゆるぎない意思と決意を全身からにじませた。そのほか、主要キャストが個性豊かなキャラクターを巧みに演じ、世界観を膨らませた。
人型自在戦闘装甲騎「ナイトメアフレーム」での戦闘シーンは、複数の視点を様々な方法で同時に見せることで、舞台ならではの臨場感と立体感を演出。リアルな映像と体に響く爆音でも戦いのすさまじさを表現した。どの戦いもアンサンブルキャストの身体能力がいかんなく発揮されており、見ごたえ十分だ。また、戦闘がすさまじいほどアッシュフォード学園での若者たちの生き生きとした姿がまばゆく、戦争のない世界の尊さを実感した。

出演者全員による群舞も圧倒的で、この作品にかける熱量がそのままダンスにも注ぎ込まれているよう。物語を彩る楽曲にも注目だ。各々の心情を丁寧に歌いあげ、現在地や関係性が明確に。赤澤と小南によるハーモニーも心地よく、白と黒という彼らの衣装も相まって、対照的な生き方を選んだスザクとルルーシュの関係性がより美しく見えた。

何が正しく、何が間違いだったのか。それぞれの正義を探す旅は、始まったばかりだ。

取材・文:岩本和子