たくさんの笑いと最後にはちょっと切ないエンターテイメント時代劇の第一部、この公演だけのスペシャルユニット(どこかのグループ・作品になんとなく似ているのはご愛敬)によるショーの第二部というスタイルで大人気の「祭シリーズ」。
 今回は室町幕府を開いた足利尊氏を主人公に、弟・直義との壮絶な兄弟げんか(観応の擾乱)に至る道のりをオリジナル・ミュージカルとして描く。
 演出を手がけるのは、ミュージカルをメインに活躍している俳優・原田優一。シリーズの演出も3回目、多彩なキャストを活かした演出が楽しみだ。そして、主演は相葉裕樹。『レ・ミゼラブル』をはじめ数々の舞台や声の仕事で活躍、祭シリーズでは2011年『新春戦国鍋祭』以来の座長だ。相葉の尊氏について、原田は「流されていた人が信念を抱いて成長していく。喜怒哀楽も激しめに、ばっち(相葉)の魅力を引き立たせる尊氏を描きたい」という。
 相葉も「これまでの共演で僕のキャラクターを理解してくれていて、その上で尊氏とどうリンクさせたら面白くなるか考えてくださっている。とても光栄だし、楽しみです」と初めて原田演出を受ける喜びを語った。
 そんな尊氏と時に協力し、時に対立する後醍醐天皇は ROLLY。ロックミュージシャンとして長いキャリアを誇ると共に数々の舞台に出演、強烈な存在感を放つ彼を「華やかでセクシー、雅な感じもある。『こういう天皇もありじゃないかな』っていう後醍醐天皇でいてほしい」と原田は言う。
 一方、 ROLLYは舞台への出演は「毎回、始まるまで恐怖です」と打ち明ける。恐怖と闘いながらも、最後には「(その舞台を)やって良かったな」と感じられるそう。緊張をにじませながらも「ダイゴ・ゴ・ゴ・ゴダイゴ!」と取材中も手にしていたギターをかき鳴らし、さすがのエンターテイナーぶりに期待も高まった。
 第二部のレビューショーに、相葉は3ユニットで出演。その内「ActSTONES」にはROLLYも参加、第一部とは違うからみが楽しみだ。相葉の他、日比谷界隈の大劇場かのようなメンバーが揃う予定のミュージカル『ナラジン』(メンバー調整中)も「ミュージカルへのリスペクトを込めつつ面白おかしくという絶妙なところを狙」(原田)っており必見。
 「とても濃い、楽しい舞台になることは間違いない」と相葉も語るこの祭は、12月28日(木)~31日(日)明治座にて。

取材・文:金井まゆみ

■公演詳細
シンる・ひま オリジナ・る ミュージカ・る「ながされ・る君へ~足利尊氏太変記~」
公演期間:2023年12月28日(木)~31日(日)
会場:明治座