天体の動きを再現したクロック

 

1830年、国際時計博物館蔵 ©Dominique Cohas / 高級時計財団 ジュネーブ スイス

こちらは1830年製造の置き時計。太陽、地球、月の動きも再現することができる可愛らしい置き時計。

上部には「月」と「12星座」の絵があり、時間だけでなく暦を知ることができます。もちろん誤差はありますが、これが全て「機械仕掛け」というから驚きです。小学生への理科の勉強にも役立ちそうなこの時計、いま売っていたとしても欲しくなってしまいそうです。

「時間」を知ることは「宇宙」を知ること。地動説にたどり着いた人類がついに「時間の謎」を解明。そんなことを自慢げに主張しているようにも見えてきます。

 

 

二挺天府とアラームを備えた櫓時計

 

江戸時代後期、セイコーミュージアム蔵 /©セイコーミュージアム、東京

少し変わったこちらの時計は、江戸時代後期の日本で使われていた和時計。

西洋のように時間の正確さを追求する時計とは違い、日本は1日を昼と夜の二つにわけ、それをまた6つに割ることで時間を計っていました。そのため、夏と冬では1時間の長さも変わる「不定法」という不思議なものでした。

こちらの時計はその「不定法」で時を刻む時計。そのたたずまいは、畳の上が最も似合いそうな姿をしています。文化が違えば、人の発想も違い、時計の進化もこんなに違うものになるんですね。中にはどんな仕掛けが隠されているのか、かなり気になります。

 

 

ベータ21

1970年、国際時計博物館蔵 ©Dominique Cohas / 高級時計財団 ジュネーブ スイス

世界初のクオーツウオッチが誕生した1年後の1970年に発表された、FAR社の「ベータ21」。

シンプルながらも当時の「近未来感」が十分にデザインに反映されている腕時計です。中央に書かれた「Quorts/クォーツ」の文字が、当時の最先端技術の証となっています。

これから先の近代時計には、スポーツ、海中、宇宙飛行など、強度やデザイン性も然ることながら、カレンダー、ストップウォッチ、電卓、GPSなどの多機能時計へと進化していきます。

人類の「時を知るための挑戦」は、この時計をもって一旦はゴールにたどり着いたといっても良いのかもしれませんね。

 

 

現在は、時計そのものの価値が「正確な時刻を知るもの」から「所有欲を満たす嗜好品」へとシフトされつつあります。高級時計という分野も、その傾向が強くなることでさらに需要が増してきたジャンルといっても言いかもしれません。

今回の展覧会ではこの他にも100点にのぼる貴重な時計の数々を見ることができます。開催期間は2014年の2月7日(金)~12日(水)まで。場所は六本木ヒルズの多目的スペースumu(ウム)で、入場は無料となっています。詳細はこちらの公式サイト[https://www.hautehorlogerie.org/watchmaking/jp/events-exhibitions/the-mastery-of-time.html]をご覧になってみてください。

人類が何千年と挑み続けた「時間の謎」を、美しい高級時計と共に追体験してみてはいかがしょうか。

 

デザイン、アート、インテリア関連の記事を中心に執筆をするフリーライター。インドア系ライフスタイルメディア「roomie」でも執筆。国内外の人に教えたくなるような小躍りする情報を紹介予定。