――入り口がそのような形であったとしても、メンバーチェンジはあれど一度も休まずに続けてきたのはすごいことだと思います。

KIBA:みんな好きで集まってバンドをやっているし、誰かにやらされていたりしているわけでもないので、やりたいことだけやっていると、さして辞めたいと思うことも無いんですよね。バンドの運営の1番大事なことのひとつとして「メンバーの機嫌が良い」っていうのがあると思う(笑)。

27年の間に、「休みたいな」と思うような辛い事とかは特に無かったです。やっぱりバンドをやってなかったら人生つまんないだろうし。普通はメジャーのレコード会社との契約が切れただとか、事務所を辞めただとかそういう時にやめることも多いのかな。でも僕らは今実質自分たちの会社でバンドを運営していますし。

そういえば、Gargoyleのメジャー契約が無くなった頃にメンバーと部屋でテレビを見てたんです。『電波少年』って番組があったじゃないですか。あれに音楽をしながら旅をするバンドが出てきてて「彼らはこの企画が駄目になるとレコード会社とも事務所とも契約を切られる崖っぷちのバンドです!」というナレーションを聞いて、「えっ! 俺ら今どっちも無いって事は"崖の下"だった!!」ってその時初めて気づきましたね(笑)。

――(笑)。

KIBA:でも「それがそんなに問題なのかよ?」 と思って。だって「ライブハウス行けば、ライブさせてくれるし、問題ないじゃん」って思ってたんです。ある意味のほほんとしてたんでしょうね。今もしてますけど(笑)。

ライブハウス行ってライブして、CD作って売って、そのお金で皆に給料出してご飯食べる。それで問題ないと思ってるんで。まあレコード会社も来てくれたらいつでも契約するけどね(笑)。誰も来ない(笑)。誰も来ないんだったら自分らでやれば良いんじゃない? みたいな。

――それはすごく健全なバンド運営ですね。本来の意味でのインディーズというか。

KIBA:お客さんがいなくなったらまた考えますけどね。それはその時になったら考えれば良いというか。

――時代に流されないところがかっこいいと思います。

KIBA:たとえば僕らが飲食店の人だとしたら、お客さんが来たとしてその人がなに食べたいかなんてわからないじゃないですか。流行りだとかなんだとかありますけど、「僕はこれ美味しいと思うんですけどどうですかね!」って出してるだけの事なんで、それを美味しいと思う人が来るんでしょうね。

残念なことに僕らが出しているのは、「ふわふわ卵のオムライス」ではなくて「納豆定食」ぐらいなんでしょうね(笑)。だから上の方にはいかないんだろうなあと思いますけど、好きな人は好きなんでしょう。だから何故来てくれるのかはわからないです。ただ自分たちがいいなと思うものを常に提供していたいだけなんで。