釘崎野薔薇役の山口乃々華 (C)芥見下々/集英社・舞台「呪術廻戦」製作委員会

 シリーズ累計発行部数8千万部を突破、全世界で一大ムーブメントを巻き起こした、芥見下々氏による漫画作品「呪術廻戦」。舞台化の第2弾となる「舞台『呪術廻戦』-京都姉妹校交流会・起首雷同-」が、12月15日から上演される。呪術高専の一年生・釘崎野薔薇を演じる、山口乃々華に本作の魅力や公演への意気込み、役作りについてなどを聞いた。

-原作や脚本を読んで、「呪術廻戦」という作品の魅力をどこに感じていますか。

 今回、舞台化される「京都姉妹校交流会編」と「起首雷同編」では、進化していく過程や呪術師として高みをめざすキャラクターの姿が細かく描かれているので、そこが面白さだと思います。それぞれのキャラクターをより深く知れると思うので、「こんなふうに思っていたんだ」とか、「こういう熱い気持ちがあるんだ」と読んでいて、すごく共感しました。

-山口さんが演じる釘崎野薔薇には、どんな印象がありますか。

 強気で勝ち気で自信家で、それでいて真っすぐさがあるのが魅力だと思います。人を思うからこそ距離を置いていますが、いざというときにはすぐに助けにいく、とてもかっこいい女の子です。自分の信じた道を歩いていく姿は理想的ですが、現実にはなかなかいないキャラクターだと思うので、今、どうやって野薔薇ちゃんのすてきなところを自分が持っているもので表せばいいのか、探っている段階です。

-釘崎野薔薇に共感できるところはありましたか。

 野薔薇ちゃんの「強くなりたい」という呪術師としての向上心は、すごく共感できるところでした。私自身も常に「もっとうまくなりたい」と思っていますし、表現力を豊かにしたいと模索し続けているので、“向上心”は共通点だと思います。それから、原作の中で野薔薇ちゃんは“ネコ派”だと言っていたので、そこは同じです(笑)。私もネコを飼っていて、大の“ネコ派”なので。

-では、これから始まるお稽古で楽しみにしていることは?

「どうやって表現するの?」と思う術式がたくさんあるので、それをどう作り上げていくのか楽しみにしています。

-山口さんのアクションシーンも楽しみにしています。

 今から筋トレをして体は鍛えているのですが、やっぱりアクションや殺陣は難しいです。今回はカナヅチを持って戦うことになると思うので、その使い方も含めて野薔薇ちゃんがそこにいると感じてもらえるように頑張りたいと思います。

-本作のように漫画原作の舞台に出演するときに特に大切にしていることは?

 漫画原作の場合、それぞれのキャラクターにもたくさんのファンの方がいるので、キャラクターの魅力を損なわないように演じることがとても大事だと思っています。そして、そのキャラクターと私の気持ちをうまく合わせて作り上げていくことが実写でやる意味なのかなと思うので、キャラクターのどんなところに共感できるのか、どんなところが魅力なのかを考えながら役作りをするようにしています。逆にオリジナル作品では、「私がこの子の立場だったらこう思う」「私だったらこうする」と自分軸で考えて演じることが多いので、そこが大きな違いかなと思います。

-改めて、公演に向けての意気込みを教えてください。

 私は、今回、舞台「呪術廻戦」に初めて参加するので、まだまだ未知の世界ではありますが、妥協なしに表現していきたいと思っています。野薔薇ちゃんとしては、黒閃を初めて出して、呪術師として成長していく姿が見どころです。野薔薇ちゃんの仲間思いで温かいところを大事に演じていきたいと思います。

-ところで、本作では、呪術高専の生徒たちが、信念を持って闘いに挑む姿が描かれていますが、山口さん自身は、曲げられない信念はありますか。

 今、お芝居にしっかり向き合わせてもらってから3年になりますが、その役を“生き抜くこと”を大事にしたいと常に思っています。お芝居をさせていただいている中で、何が一番悔しかっただろうと振り返ると、その役をきちんと生きられなかったときだと思いました。そこに生きている、ステージの上で息をしていると思う演技ができると、少しだけ納得できます。まだまだ分からないことばかりで、正解、不正解がないお芝居だからこそ、悩むことも多いのですが、“そこに生きる”を大切にしたいです。

-芝居を始めた3年前と今とでは、芝居に対する向き合い方や思いは変わりましたか。

 向き合い方は変わっていないと思いますが、当時よりは分かることが増えてきたとは思います。以前は自分のことで精いっぱいでしたが、今は少しだけ、外側から自分を見られるようになりました。「相手の方がこうしているから私はこうしよう」と周りを見てお芝居ができるようになってきたかなとは思います。

-では、プライベートで譲れないと思うものはありますか。

 あまり細かく決めているわけではないですが、自分の中のルールはたくさんありますね(笑)。特に最近は「すぐにやる」がマイルール。例えば、汗をかきたいと思ったら、すぐに運動する。部屋を片付けようと思い立ったらすぐに片付ける。とにかく、思い立ったら、すぐにやるようにしています。

-本作は年末年始を挟んでの公演となりますが、2024年は、どんな1年にしたいですか。

 より濃厚な1年になればと思います。この作品に出演することで、自分なりの課題もさらに見つかると思うのですが、それをまずはクリアーしたいです。それから、揺るがない自信を身につけられたらいいなと思います。私はまだまだ環境に揺さぶられてしまうので、常に安定した心でいられればと思っています。

-2024年に新たに挑戦したいことはありますか。

 少し前まで、引っ越しをしたいと思っていたんですが、今は引っ越し熱も冷めました(笑)。私は引っ越しが大好きで、そうやって環境を変えようとしてきたのですが、変化よりも現状を維持していくことの方が大切なのだと思い至って…。なので、来年は「地固め」がテーマです(笑)。

(取材・文:嶋田真己)

 「舞台『呪術廻戦』-京都姉妹校交流会・起首雷同-」は、12月15日~31日に都内・天王洲 銀河劇場、2024年1月6日~14日に兵庫・AiiA 2.5 Theater Kobeで上演。