竹本駒之助(写真左) 竹本駒之助(写真左)

女流義太夫で人間国宝の竹本駒之助をフィーチャーする「KAAT 竹本駒之助公演」の第2弾が、2月1日(土)・2日(日)KAAT 神奈川芸術劇場 大スタジオで行われる。今回の演目は『太平記忠臣講釈』七段目「書置の段」。元禄赤穂事件を描く「忠臣蔵」物の代表作のひとつで、「書置の段」は最大の秘密である「仇討の決意」を隠しながら、四十七士がそれぞれの家族と最後の別れを遂げる「銘々伝」の典型的作品だ。

KAAT 竹本駒之助公演『太平記忠臣講釈』チケット情報

去る12月25日、公演の成功を祈願して、駒之助による泉岳寺・赤穂義士墓地のお参りと記者懇親会が行われた。懇親会は、まず、公演当日の解説を担当する神津武男氏による『太平記忠臣講釈』および七段目「書置の段」についての解説からスタート。作品の成立背景や「書置の段」のあらすじとともに、主人公・矢間重太郎と、その父である喜内に焦点をあて「喜内住家の段」として上演されることが多いこの段だが、今回は、重太郎の妻・おりゑによる「書置」(遺書)が読まれる場面を書き添えた作者・近松半二の作意を活かすべく、大坂板五行本にある「書置の段」という段名で上演することなどを説明。武家の嫁でありながら生活のために「辻君」(下級の娼婦)となるおりゑをはじめ、今回の登場人物はみな、隠しごとをしている。その複雑な機微を語り分ける駒之助の表現力に注目してください、と聞きどころの説明があった。

続いて駒之助によるお話では、この曲「書置の段」を、大阪で内弟子に入った竹本春駒師が、素人弟子に教えるのを脇で聞いて覚えたことや、その後ついた豊竹若大夫師の思い出、竹本越路大夫師のもとで修業を積むうちに、義太夫節のおもしろさに開眼し勉強を重ねていったこと、前後に入門者がなく珍しい女の弟子だったからこそ、たくさんの師匠に恵まれたこと、などが語られた。

今回初めて赤穂義士の霊前に手をあわせた駒之助は、「お参りできてよかった。四十七士の義士の思いを身近に感じます」と述べ、11月にKAATで行われた『和田合戦女舞鶴』の時と同じように、今回も「役の性根をつかんで、教わったまま忠実に語りたい」と抱負を語った。