2017年11月に初演を行い、6年にわたって舞台ならではの展開を繰り広げてきた「ツキステ。」シリーズ。『ツキウタ。』原作が10周年を迎えたことを記念し、劇場版アニメのエッセンスを加えたツキステ。第14幕『Rabbits Kingdom Resurrection』が2023年11月17日(金)より開幕した。今回の公演は黒兎王国ver.と白兎王国ver.の2パターン。さらに各公演の開演15分前に、本編につながるキャラクターの物語が紡がれる特別朗読を日替わりで実施。この日は涙と郁による朗読と白兎王国ver.のゲネプロが行われた。

一幕で繰り広げられるのは、様々な種族の国や魔法が存在するファンタジー。黒兎王国の王様・始(縣豪紀)と白兎王国の隼(TAKA)を中心に、シリアスだがあたたかい、大人の童話が描かれる。コミカルな掛け合いが多い中にも、生と死、人と人のつながりといった普遍的なテーマが描かれており、グッとくるシーンもたくさん。それぞれのキャラクターらしさがある衣装、見応えのあるアクションや美しい歌唱とダンスなど、ストーリー以外の部分でも見どころがたっぷり詰まっている。

二部のライブパートは、ユニット曲以外オール新曲。まずはお馴染みのユニット曲で客席のボルテージをグッと上げ、劇場をライブ会場へと変えていく。白兎王国ver.はProcellarumのメンバーのソロやデュエット中心の構成。郁と涙がストリートファッションに身を包んでヒップホップを披露したり、夜と陽は爽やかでロマンティックな世界を見せたり、隼と海のデュエットはジャジーで大人な雰囲気が漂っていたりと、それぞれ個性あふれる楽曲で魅了する。王道アイドルソングからクールな楽曲、しっとり聞かせるものまで多彩な楽曲により、それぞれの魅力が引き出されていた。また、今回は声出しも解禁。コール&レスポンスをしたり通路を使ってパフォーマンスをしたりと、会場の一体感を高めていく。ゲネプロながら熱気あふれるライブが繰り広げられる。
最後にTAKA(CUBERS)が、「今回は第5幕の再演。原作が10周年ということで、特別な思いを持って挑み、大成功を収めたいです」と締め括った。
本作は11月17日(金)~26日(日)までヒューリックホール東京にて上演。26日(日)の11:00、17:00公演はオンライン生配信も行われる。

取材・文:吉田沙奈