海外移住資料館にいる名物案内人
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最初に案内していただいたのは、JICA横浜のシンボルとも言える海外移住資料館。かつて横浜港から多くの移住者が海を渡ったことを背景に、JICA横浜に設置された資料館だ。
日本人の海外移住の歴史や移住者、日系人の現在が、年表や写真、それに映像などを使って分かりやすく紹介されている。
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ここにはボランティアの方が常駐しており、希望者には説明しながら案内してくれる。
今回案内をしてくださったのは、ボランティア歴10年の松田潤治郎さん、御年73歳。長年ブラジルで移住者のお仕事や技術協力の活動をされていた方だ。
ハワイの展示と一緒に、ヘッドフォンが設置されている。ハワイに渡った移民が、農作業中に歌っていた労働歌を聴けるのだ。
松田さんがハワイからの団体観光客にこの場面の説明をしていたとき、みんなが「その歌を聴きたい」と言いだしたそうだ。ヘッドフォンは2個しかなく困り果てていたら、観光客の一人に、「じゃ、あなたが歌って!」と言われ、その場で熱唱したというエピソードも。
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「そんな事態を予測していた訳ではないのですが、前からこっそりと練習していたんです」と、いたずらっ子の様な笑顔。
資料館広報担当の清水さんからは「朝から歌が聞こえると思ったら松田さんが一人で練習していたんですよね」との証言も。
「松田さんをはじめボランティアの方は、海外移住について興味を持って欲しい、知って欲しいという情熱を持って紹介していますので、お話も楽しいですよ」とのこと。
ただ、情熱余って時間を忘れて説明してくださるボランティアの方が多いので、「最初に30分で説明してください! などと伝えておくと時間がなくてすべての展示が見きれなかった~と言う様なことにはならないはず。でも、お時間のある方は心ゆくまで説明を楽しんでください」とのアドバイス。
JICAの中でも海外移住に関する貴重な資料を保管、展示しているのはここだけとのこと。
世界各国の料理が楽しめるカフェ
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次に案内して頂いたのは、一番キニナっているカフェ。
ここで注目したいのは、そのメニュー。ウワサ通り、世界各国の料理がずらり。いったいここでは何ヶ国のお料理が食べられるのだろうか? JICAシェフ歴15年のベテラン、新藤シェフに聞いてみた。ちなみにシェフの専門は栄養学。
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「常にあるのは、ベトナムのフォーやブラジルの豆や豚肉を煮込んだフェジョアーダなど10種類程ですが、週変わりメニューとして毎週違った国のメニューを出しています。今週(取材時は12月第2週)はタンザニア料理です。アフリカ料理、中南米料理も多いですし、アジアそれに中東の料理もだします。うぅ~ん、何ヶ国の料理を提供しているのかは数えきれません」
週替わりで提供している料理の中には大使館専属料理人に作り方を指導してもらったメニューもある。日本で手に入りにくい香辛料や材料は、現地から取り寄せたり、香辛料を専門に扱う業者から買ったりしているとのこと。
また、地産地消の取り組みからサラダに使われている葉ものやカレーに使われている人参などの野菜は神奈川県産。
ランチを食べに来ていた女性の2人連れは、「リーズナブルでいろんな国の料理が食べられるので楽しいです。初めて来ましたが、今度主人と一緒に夜に来てみます。テラス席もあるので、ジョギング中に立ち寄ることもできますね」
このカフェの目的の一つは、海外から来ている研修員達の三食をまかなうこと。そしてもう一つの目的は、お客さまに料理を通して海外を知り、国際協力に関心を持ってもらうこと。
新藤シェフ、「TFTの取り組みを通して日本と途上国をつないでいることがやりがいになっています」と話して下さった。
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ちなみに、TFTとは「Table For Two」の略で、先進国の私たちと開発途上国の子どもたちが、時間と空間を超え食事を分かち合うというコンセプトで行われているプログラム。
先進国に暮らす私たちは、カロリー計算された食事で自分の体をケアすると同時に食事代の中から20円を途上国に寄付することで、途上国の学校給食をサポートするという取り組み。20円で給食一食分。先進国で一食とるごとに途上国に一食贈られるという仕組みなのだ。このカフェでは週替わりランチDセットがTFTに協力している。