『日乃屋カレー』「和風ビーフカレー」
『日乃屋』特有の「甘み」はレトルトでさらに際立つ
続いていただくのは、全国97店舗を展開するカレーチェーン『日乃屋カレー』(以下、『日乃屋』)。
多種多様なカレーが世に出回っていますが、一貫して「日本のカレー」の味にこだわり、カレーの聖地・神田エリアでは3回も優勝を経験したブランドでもあります。
もちろん、S&Bとのタイアップでレトルトも発売しており、スーパーマーケットなどでも広く流通しています。
クラシカルな味わいの中に、甘みをアクセントした味が特徴で、これがやけにクセになるわけですが、果たしてレトルトではどれだけの再現がなされているのでしょうか。
店頭で食べるよりも、さらに甘みを際立たせた印象で、「ちょっと違う」というのが正直な印象でした。しかし、これが悪いということではなく、「別物」として考えれば十分美味しく、クセになる味わいでもあります。
甘みとスパイス感の複雑なバランスはさすがS&Bと言いたくなる完成度で、従来の『日乃屋』ファン以外にも広く受け入れれるようにも思いました。
絶対的な『日乃屋』ファンは認めないかもしれませんが、これはこれで十分アリな一品だと思いました。
『自由軒』「名物カレー」
手間はかかれど、大阪を代表する「名物カレー」が家庭で再現できる
大阪エリアでカレーと言えば、まずこの店の名が挙がるはずの『自由軒』。大阪に2店舗のみの展開ですが、かの織田作之助も愛した伝統の味わいは、今日も頑なに守り抜かれているとも言えましょう。
さて、この『自由軒』の人気ナンバーワンの「名物カレー」。どういうものかと言うと、大胆にもフライパンの上で和えたカレーとライスに、生玉子を添えてリゾット風にいただくというもの。
今では「カレーに生玉子を乗せる」というスタイルはさして珍しいわけではないですが、実はこれ『自由軒』が元祖だと言われています。
この『自由軒』のレトルトはズバリ「名物カレー」。あの店頭でのスタイル同様に、フライパンでカレーとライスを和えてからいただくというものです。レトルトにしては手間がかかるフローですが、その味は果たして!?
店頭での味を知らない人にとっては、そのビジュアルを前に「なんじゃこりゃ!」と思うかもしれませんが、これぞまさしく『ザ・自由軒』の味わいです。奥ゆかしいカレールーの味わいがご飯一粒一粒にまとわりつき、続々とスプーンが進みます。
もちろん、生玉子やソースとの相性も抜群で、なかなかクセになる味わい。さすが伝統を守り抜く『自由軒』だけあって、レトルトでもその味にはいっさいの妥協をしていないことがよく伝わってきました。
「トラは死んで皮をのこす。織田作死んでカレーライスをのこす」という店頭でのキャッチコピーがつい頭に浮かんできました。